魚の通称と利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/05 01:49 UTC 版)
「ドクターフィッシュ」の記事における「魚の通称と利用」の解説
温泉に棲むガラ・ルファがヒトの角質を食べる習性は、温泉では他の生物があまり生息せず、他に食べるものが無いためと考えられ、えさが豊富にある河川などの環境下であればヒトの角質を食べることはあまりなく、非常に珍しい生態学的適応の例である。えさとなるプランクトンや藻が十分に育たない温泉内に物理的に閉じ込められた(隔離された)ガラ・ルファは、河川よりも餌不足で生育が悪くなるが、トルコでは夏場に観光客がやってきて温泉に足をつけるため、よい栄養源となる。トルコの生物学者は「ヒトの皮膚はドクターフィッシュにとって肉のようなごちそう」だとしている。 世界の三大美女の1人であるクレオパトラが愛用していたとされるガラ・ルファは、歯が無いため肌を傷つける事もなく、化学薬品を使うこともない。皮膚を吸い取るようについばむ習性と、ついばむ際の小刻みな刺激や振動が皮膚の代謝を促進させる「自然のピーリング効果」及び「マッサージ効果」、「リラクゼーション効果」が期待され、アトピー性皮膚炎・乾癬など皮膚病に治療効果があるともされ、「ドクターフィッシュ」の通称で知られる。また、臆病なはずの小魚がヒトに寄って来ることから、心の弱った人にも効果があるとされる。皮膚病の場合、角質を取り去るだけで治ることはありえず、病気のメカニズムそのものに働きかける通常医療は継続して行う必要がある。 ドイツやトルコではドクターフィッシュによる治療が保険適用の医療行為として認められている。近年[いつ?]、日本でも皮膚病の治療効果が注目され、水族館・動物園以外にも日帰り入浴施設などで「フィッシュセラピー」としてのサービスが提供されている。ドクターフィッシュは金魚すくい程度の水槽で足湯やセラピー、体験、ふれあいが行える(手だけの場合は通常の観賞魚用の水槽でよい)ため、日本では児童施設で取り扱われたり、理容店、インターネットカフェなどの取り扱い例があり、移動水族館もある。日本では水族館などが繁殖に成功し、またドクターフィッシュのレンタル業者もある。 トルコではガラ・ルファは自然の温泉(水温34℃)と河川とを行き来していたが、1950年代、開発により河川から温泉が魚群ごと隔離され、ヒトの角質をえさとする非常に珍しい生態学的適応が始まった。トルコの生物学者は、隔離された魚群は数千年後には別な種に進化する可能性もあると指摘している。トルコで古くから行われるドクターフィッシュであるが、中国の業者はアイディアは中国起源だとしている。 ドクターフィッシュは多数の国や地域で利用されている。しかし一部の地域では異なった対応をとる。アメリカでは、14の州でエステティックサロンによるフィッシュセラピーがエステティック組合内により禁止され、アブダビでは全面禁止となっている。イギリスでは、不特定多数が水槽を利用するため、英国健康保護局(Health Protection Agency)により、HIVやHCVなどの感染症の感染率は非常に低いがゼロではないと各施療所に水を取り換えることなどの衛生面の指導がなされている。なお、ガラ・ルファ自体がデリケートで水の汚れに弱い魚であるため、飼育での水の取り換えは推奨される。
※この「魚の通称と利用」の解説は、「ドクターフィッシュ」の解説の一部です。
「魚の通称と利用」を含む「ドクターフィッシュ」の記事については、「ドクターフィッシュ」の概要を参照ください。
- 魚の通称と利用のページへのリンク