韓江 (小説家)
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| 韓 江 | |
|---|---|
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韓 江(2024年)
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| 誕生 | 1970年11月27日(54歳) |
| 職業 | 小説家 |
| 言語 | 朝鮮語 |
| 国籍 | 韓国 |
| 教育 | 豊文女子高等学校 |
| 最終学歴 | 延世大学校 国文料 (朝鮮語・韓国文学) |
| 活動期間 | 1994年 - |
| ジャンル | 小説 |
| 代表作 | 『채식주의자 (菜食主義者)』 |
| 主な受賞歴 | 李箱文学賞(2005) ブッカー国際賞(2016) ノーベル文学賞(2024) |
| デビュー作 | 『붉은 닻 (赤いアンカー)』 |
| 署名 | |
| 韓江 | |
|---|---|
| 各種表記 | |
| ハングル: | 한강 |
| 漢字: | 韓江 |
| 発音: | ハン・ガン |
| 日本語読み: | かん こう |
| 英語表記: | Han Kang |
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韓 江(朝鮮語: 한강、Han Kang、ハン・ガン、1970年11月27日 - )[1]は、韓国の小説家。光州広域市生まれ。父は小説家の韓勝源。2024年に、アジア人女性として初めてノーベル文学賞を受賞した。
略歴
1993年、季刊『文学と社会』で『ソウルの冬』などの5編の詩で文壇デビュー。
1994年、『ソウル新聞』新春文芸に短編『붉은 닻』(赤い碇(アンカー))が当選し、小説家として一躍名をあげる。その後、『여수의 사랑(麗水の愛)』(1995年)、『검은 사슴(黒い鹿)』などを作品を通じて、人間の根源的な悲しみやさびしさを表す作品を発表してきた。「緻密な細部、飛躍や断絶のない構成、豊富な象徴などで若いマイスターの誕生を予感させる」と破格の賞賛を浴びた。
2005年には審査委員7人の満場一致で『몽고반점(蒙古斑)』が李箱文学賞大賞を受賞した。同賞の歴史上、1970年代に生まれた初の受賞者であり、父の勝源も1988年に同賞を受賞していることから、初の親子での受賞となった。
文学評論家の李御寧は、「韓江の『蒙古斑』は、奇異な素材と独特な人物設定、混乱した話の展開で不自然な小説になる可能性もあったが、レベルの高い象徴性と優れた作法で面白い小説になっている」と評価した。
2013年に初の詩集となる『서랍에 저녁을 넣어 두었다(棚に夕方を入れておいた)』を上梓。
2016年、『채식주의자(菜食主義者)』でブッカー国際賞受賞。
2024年にアジア人女性初のノーベル文学賞を受賞した。韓国人のノーベル賞受賞者は、2000年にノーベル平和賞を受賞した金大中大統領以来2人目である。
エピソード
父は韓国で著名な文学者である韓勝源であり、父親は日本の作家である中上健次と親しかった。また、韓自身も中上健次の娘である中上紀と親交がある[2]。
年譜
- 1970年11月27日、韓国光州広域市で生まれる。
- 1989年、豊文女子高等学校を卒業。
- 1993年、延世大学校国文科卒業。
- 1993年、文芸誌『文学と社会』詩当選。
- 1994年、『ソウル新聞』新春文芸『붉은 닻』(赤いアンカー)当選、文壇デビュー。
- 1995年、韓国日報が選んだ『優秀小説家』受賞
- 1998年、アイオワ大学主催国際創作プログラムに参加。
- 1999年、第25回 韓国小説文学賞受賞。
- 2000年、文化観光部『今日の若い芸術家賞』文学部門受賞。
- 2005年、第29回 李箱文学賞大賞受賞。
- 2010年、第13回 東里文学賞授賞。
- 2016年、『채식주의자 (菜食主義者)』でブッカー国際賞受賞。
- 2017年、マラパルテ賞受賞。
- 2023年、『작별하지 않는다 (別れを告げない)』でメディシス賞外国小説部門受賞。
- 2023年、『작별하지 않는다 (別れを告げない)』でエミール・ギメ・アジア文学賞受賞。
- 2023年、イギリス王立文学協会International writerに選出
- 2024年、湖巌賞芸術部門受賞。
- 2024年、ノーベル文学賞受賞[3]。
作品リスト
日本は最も多くハンガンの作品を翻訳している国である。太字は邦訳作品。
掲載書誌は原則として日本語で読めるものを優先して書いた。その場合、初出は省いた。
一つの作品名は「」で、書籍の場合は『』で表した。
| 発表年 | 邦題 | 原題 (直訳) |
収録作品または掲載誌書 | 種類 | 邦訳しているか? | 訳者 | 日本での翻訳年月、 出版社、 国際識別番号、または備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1995年 | n/a | 여수의 사랑(麗水(ヨス)の愛) | 収録作品
|
短編集 | 未 | n/a | 2018年に表現などを加筆修正した改訂版が出版された。 |
| 1996年 | 「白い花」 | 흰꽃 (白い花) |
『BRUTUS』2025年8月15日号に収録 | 短編 | ◯ | 斎藤真理子 | 現時点で日本語で読めるハン・ガンの作品の中で最古の作品である。 |
| 1998年 | n/a | 검은 사슴(黒い鹿) | n/a | 長編 | 未 | n/a | 初の長編小説 |
| 1997年 | 「私の女の実」 | 내 여자의 열매(私の女の実) | 『ひきこもり図書館 部屋から出られない人のための12の物語』(毎日新聞出版、2021年)に収録 | 短編 | ◯ | 斎藤真理子 | 備考:『菜食主義者』の元になった作品 |
| 1999年 | n/a | 아기부처(子供仏) | n/a | 短編 | 未 | n/a | 備考:韓国小説文学賞受賞作 |
| 2000年 | n/a | 『내 여자의 열매』(私の女の実) | 収録作品
|
短編集 | 未(部分的に◯) | n/a | 2018年に収録作品の順番を変え、表現などを加筆修正した改訂版が出版された。 |
| 2002年 | n/a | 그대의 차가운 손 (あなたの冷たい手) |
n/a | 長編 | 未 | n/a | 長編第二作 |
| 2002年 | n/a | 내 이름은 태양꽃(私の名前は太陽花) | n/a | 童話 | 未 | n/a | 絵本作家キム・セヒョンとの合作 |
| 2003年 | n/a | 붉은 꽃 이야기(赤い花の話) | n/a | 中編 | 未 | n/a | 画家ウ・スンウが挿絵 |
| 2003年 | n/a | 사랑과 사랑을 둘러싼 것들(愛と愛を取り巻くもの) | 収録内容
|
散文集 | 未 | n/a | |
| 2005年 | 「蒙古斑」 | 몽고반점(蒙古斑) | 『菜食主義者』に収録 | 中編 | ◯ | きむふな | (2011年6月、クオン、新しい韓国の文学、ISBN 978-4904855027) |
| 2007年 | 「そっと 静かに」 | 가만가만 부르는 노래(静かに歌う歌) | 『そっと 静かに』 | 詩集、散文集、エッセイ集 | ◯ | 古川綾子 | (2018年6月、クオン、新しい韓国の文学、ISBN 978-4904855706) |
| 2007年 | 「かみなりせんにょと いなづませんにょ」 | 천둥 꼬마 선녀 번개 꼬마 선녀 (雷子供天女ちゃんと、稲妻子供天女ちゃん) |
『かみなりせんにょと いなづませんにょ』 | 絵本 | ◯ | 斎藤真理子 | (2025年10月、小峰書店、ISBN 978-4-338-12660-1) |
| 2007年 | 『菜食主義者』 | 채식주의자(菜食主義者) | 収録作品
|
中編小説集 | ◯ | きむふな | (2011年6月、クオン、新しい韓国の文学、ISBN 978-4904855027) 備考:3篇の中編からなる連作小説で、一つの長編でもある。 |
| 2008年 | 「涙の箱」 | 눈물상자 (涙箱) |
涙の箱 | 童話 | ◯ | きむふな | (2025年8月、評論社、ISBN 978-4-566-02489-2) |
| 2010年 | n/a | 바람이 분다 가라(風が吹く、行け) | n/a | 長編 | 未 | n/a | 長編第四作 2010年東里文学賞受賞 「青い石」が元になっている。 |
| 201年 | 「ギリシャ語の時間」 | 희랍어 시간(ギリシア語時間) | 韓国文学のオクリモノシリーズ1巻目 | 長編 | ◯ | 斎藤真理子 | 長編第五作 (2017年10月、晶文社、ISBN 978-4794969774) |
| 2013年 | 「回復する人間」 | 회복하는 인간 | 収録作品
|
短編集 | ◯ | 斎藤真理子 | 備考:「黄色い模様の永遠」のリニューアル版として、2018年に収録作品の順番を変え、表現などを加筆修正した改訂版として出版された。 |
| 2013年 | 「引き出しに夕方をしまっておいた」 | 서랍에 저녁을 넣어 두었다(棚に夕方を入れておいた) | 目次
|
詩集 | ◯ | きむふな、斎藤真理子 | (2022年6月、クオン、ISBN 978-4910214283) |
| 2014年 | 「少年が来る」 | 소년이 온다(少年が来る) | 目次
|
長編 | ◯ | 井出俊作 | 備考:長編第六作 (2016年10月、クオン、ISBN 9784904855409) |
| 2015年 | n/a | (雪がひとひら溶ける間に) | n/a | 中編 | 未 | n/a | 黄順元文学賞受賞作 |
| 2016年 | 「すべての、白いものたちの」 | 흰(白い) | すべての、白いものたちの | 65の断章集 | ◯ | 斎藤真理子 | (2018年12月、河出書房新社、ISBN 978-4309207605) 二〇一八年ブッカー賞候補 |
| 2017年 | n/a | (別れ) | n/a | 短編 | 未 | n/a | 金裕貞(キム・ユジュン)文学賞受賞作 |
| 2019年 | 「京都、ファサード」 | n/a | 単行本アンソロジー
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短編 | ◯ | 斎藤真理子 | 初出:『文藝』2019年秋季号 特集:韓国・フェミニズム・日本 |
| 2021年 | 「別れを告げない」 | 작별하지 않는다(さよならしない) | 収録作品
|
長編 | ◯ | 斎藤真理子 | 長編第七作 (斎藤真理子訳、2024年3月、白水社、ISBN 978-4560090916) |
| 2023年 | n/a | 『ジ・エッセンシャル ハン・ガン』 | 収録作品 【小説】
【詩歌】
【散文、エッセイ】
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今までの作品を集めた作品集 | 未(部分的に◯) | n/a | n/a |
| 2024年 | n/a | 깃털(羽) | オンラインマガジン「보풀」 (ポプル、bopul)(「毛玉」の意味)※韓国語で書かれている。 |
散文 | 未 | n/a | 備考:ノーベル賞受賞後初めて発表された。900字程度。 |
| 2025年 | 「光と糸」 | 빛과 실(光と糸 | 収録作品・目次
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詩、散文、講演録を収録した作品集 | ◯ | 斎藤真理子 | 2025年12月、 河出書房新社、 ISBN 978-4309209418 |
| 2114年(出版予定) | n/a | 사랑하는 아들에게[5] (愛する息子へ) |
??? | n/a | 未 | n/a | タイトル以外の一切が公言禁止のためあらすじもページ数も不明。 書かれた年は2014年である。 |
リスト表示版
- 1995年、여수의 사랑(麗水の愛)(短編集)
- 1996年、흰꽃(白い花)(短編)
- 白い花(斎藤真理子 訳、 『BRUTUS』2025年8月15日号)
- 1999年、아기부처(子供仏)
- 2000年、내 여자의 열매(私の女の果実)(短編集)
- 2002年、그대의 차가운 손(あなたの冷たい手)
- 2002年、내 이름은 태양꽃(私の名前は太陽花)
- 2003年、붉은 꽃 이야기(赤い花の話)
- 2003年、사랑과 사랑을 둘러싼 것들(愛と愛を取り巻くもの)
- 2005年、몽고반점(蒙古斑) -「菜食主義者」に収録
- 2005年、검은 사슴(黒い鹿)
- 2007年、가만가만 부르는 노래(静かに歌う歌)
- そっと 静かに(古川綾子訳、2018年6月、クオン、新しい韓国の文学、ISBN 978-4904855706)
- 2007年、천둥 꼬마 선녀 번개 꼬마 선녀(雷子供天女、稲妻子供天女)<児童書>
- かみなりせんにょと いなづませんにょ(斎藤真理子 訳、2025年10月、小峰書店、ISBN 978-4-338-12660-1)
- 2007年、채식주의자(菜食主義者)
- 菜食主義者(きむふな訳、2011年6月、クオン、新しい韓国の文学、ISBN 978-4904855027)
- 2008年、눈물상자(涙箱)
- 涙の箱(きむふな訳、2025年8月、評論社、ISBN 978-4-566-02489-2)
- 2010年、바람이 분다 가라(風が吹く、行け)
- 2010年、아홉개의 이야기(9つの物語)
- 2011年、희랍어 시간(ギリシア語時間)
- ギリシャ語の時間(斎藤真理子訳、2017年10月、晶文社、ISBN 978-4794969774)
- 2012年、노랑무늬 영원(黄色模様永遠)(短編集)
- 2013年、회복하는 인간(回復する人間)(黄色模様永遠のリニューアル版)
- 回復する人間(斎藤真理子訳、2019年6月、白水社、ISBN 978-4560090596)
- 2013年、서랍에 저녁을 넣어 두었다(棚に夕方を入れておいた)<詩集>
- 引き出しに夕方をしまっておいた(きむふな、斎藤真理子 訳、2022年6月、クオン、ISBN 978-4910214283)
- 2014年、소년이 온다(少年が来る)
- 少年が来る(井出俊作訳、2016年10月、クオン、ISBN 9784904855409)
- 2016年、흰(白い)
- すべての、白いものたちの(斎藤真理子訳、2018年12月、河出書房新社、ISBN 978-4309207605)
- 2021年、작별하지 않는다(別れを告げない)
- 別れを告げない(斎藤真理子訳、2024年3月、白水社、ISBN 978-4560090916)
- 2025年、빛과 실(光と糸)
- 光と糸(斎藤真理子訳、2025年12月、河出書房新社、ISBN 978-4309209418)
関連文献
特集
記事掲載
脚注
- ^ 韓国文学翻訳院文人DB「韓江」 (한국문학번역원 문인DB 한강)
- ^ 毎日新聞. “人間の存在を問う文学”. 2025年1月29日閲覧。
- ^ “The Nobel Prize in Literature 2024”. The Nobel Prize (2024年10月10日). 2024年10月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年10月10日閲覧。
- ^ 구둘래,임인택 (2024年10月15日). “[단독 “심장 속 어둑한 방에…” 한강, 노벨상 수상 뒤 첫 글]” (朝鮮語). 한겨레. 2025年10月11日閲覧。
- ^ 韓国語で「愛する、大好きな」は2通りあり、「사랑할」と「사랑하는」がある。「사랑할」は未来形であり、この作品のタイトルに使われている「사랑하는」は現在進行の意味である。
外部リンク
- Han Kang Facts the Nobel Foundation
- 韓江_(小説家)のページへのリンク