韓江_(小説家)とは? わかりやすく解説

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韓江 (小説家)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/26 19:25 UTC 版)

韓 江
韓 江(2024年)
誕生 (1970-11-27) 1970年11月27日(54歳)
韓国光州広域市
職業 小説家
言語 朝鮮語
国籍 韓国
教育 豊文女子高等学校
最終学歴 延世大学校 国文料
(朝鮮語・韓国文学)
活動期間 1994年 -
ジャンル 小説
代表作 채식주의자菜食主義者)』
主な受賞歴 李箱文学賞(2005)
ブッカー国際賞(2016)
ノーベル文学賞(2024)
デビュー作 붉은 닻 (赤いアンカー)』
署名
ウィキポータル 文学
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韓江
各種表記
ハングル 한강
漢字 韓江
発音: ハン・ガン
日本語読み: かん こう
英語表記: Han Kang
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ノーベル賞受賞者 

受賞年: 2024年
受賞部門: ノーベル文学賞
受賞理由: 『歴史的なトラウマと対峙し、人間の生命の儚さを露呈させた、迫力ある詩的な散文に対して』

韓 江朝鮮語: 한강、Han Kang、ハン・ガン、1970年11月27日 - )[1]は、韓国小説家光州広域市生まれ。父は小説家の韓勝源2024年に、アジア人女性として初めてノーベル文学賞を受賞した。

略歴

1970年光州広域市に生まれる。

1993年、季刊『文学と社会』で『ソウルの冬』などの5編の詩で文壇デビュー。

1994年、『ソウル新聞』新春文芸に短編『붉은 닻』(赤い碇(アンカー))が当選し、小説家として一躍名をあげる。その後、『여수의 사랑(麗水の愛)』(1995年)、『검은 사슴(黒い鹿)』などを作品を通じて、人間の根源的な悲しみやさびしさを表す作品を発表してきた。「緻密な細部、飛躍や断絶のない構成、豊富な象徴などで若いマイスターの誕生を予感させる」と破格の賞賛を浴びた。

2005年には審査委員7人の満場一致で『몽고반점(蒙古斑)』が李箱文学賞大賞を受賞した。同賞の歴史上、1970年代に生まれた初の受賞者であり、父の勝源も1988年に同賞を受賞していることから、初の親子での受賞となった。

文学評論家の李御寧は、「韓江の『蒙古斑』は、奇異な素材と独特な人物設定、混乱した話の展開で不自然な小説になる可能性もあったが、レベルの高い象徴性と優れた作法で面白い小説になっている」と評価した。

2013年に初の詩集となる『서랍에 저녁을 넣어 두었다(棚に夕方を入れておいた)』を上梓。

2016年、『채식주의자菜食主義者)』でブッカー国際賞受賞。

2024年にアジア人女性初のノーベル文学賞を受賞した。韓国人のノーベル賞受賞者は、2000年ノーベル平和賞を受賞した金大中大統領以来2人目である。

エピソード

父は韓国で著名な文学者である韓勝源であり、父親は日本の作家である中上健次と親しかった。また、韓自身も中上健次の娘である中上紀と親交がある[2]

年譜

  • 1970年11月27日、韓国光州広域市で生まれる。
  • 1989年、豊文女子高等学校を卒業。
  • 1993年、延世大学校国文科卒業。
  • 1993年、文芸誌『文学と社会』詩当選。
  • 1994年、『ソウル新聞』新春文芸『붉은 닻』(赤いアンカー)当選、文壇デビュー。
  • 1995年、韓国日報が選んだ『優秀小説家』受賞
  • 1998年アイオワ大学主催国際創作プログラムに参加。
  • 1999年、第25回 韓国小説文学賞受賞。
  • 2000年、文化観光部『今日の若い芸術家賞』文学部門受賞。
  • 2005年、第29回 李箱文学賞大賞受賞。
  • 2010年、第13回 東里文学賞授賞。
  • 2016年、『채식주의자 (菜食主義者)』でブッカー国際賞受賞。
  • 2017年マラパルテ賞受賞。
  • 2023年、『작별하지 않는다 (別れを告げない)』でメディシス賞外国小説部門受賞。
  • 2023年、『작별하지 않는다 (別れを告げない)』でエミール・ギメ・アジア文学賞受賞。
  • 2023年、イギリス王立文学協会英語版International writerに選出
  • 2024年湖巌賞芸術部門受賞。
  • 2024年、ノーベル文学賞受賞[3]

作品リスト

日本は最も多くハンガンの作品を翻訳している国である。太字は邦訳作品

掲載書誌は原則として日本語で読めるものを優先して書いた。その場合、初出は省いた。

一つの作品名は「」で、書籍の場合は『』で表した。

全作品リスト
発表年 邦題 原題

(直訳)

収録作品または掲載誌書 種類 邦訳しているか? 訳者 日本での翻訳年月、

出版社、 国際識別番号、または備考

1995年 n/a 여수의 사랑(麗水(ヨス)の愛) 収録作品
  • ヨスの愛
  • 疾走
  • 赤い碇
  • 闇の謝肉祭
  • 夜行列車
  • ツツジの稜線
短編集 n/a 2018年に表現などを加筆修正した改訂版が出版された。
1996年 「白い花」 흰꽃

(白い花)

BRUTUS』2025年8月15日号に収録 短編 斎藤真理子 現時点で日本語で読めるハン・ガンの作品の中で最古の作品である。
1998年 n/a 검은 사슴(黒い鹿) n/a 長編 n/a 初の長編小説
1997年 「私の女の実」 내 여자의 열매(私の女の実) 『ひきこもり図書館 部屋から出られない人のための12の物語』(毎日新聞出版2021年に収録 短編 斎藤真理子 備考:『菜食主義者』の元になった作品
1999年 n/a 아기부처(子供仏) n/a 短編 n/a 備考:韓国小説文学賞受賞作
2000年 n/a 내 여자의 열매』(私の女の実) 収録作品
  • 「私の女の実」
  • 子供仏
  • 夕暮れ時、犬たちはどんな気分だろう
  • ある日彼は
  • 赤い花の中で
  • 九つの物語
  • 「白い花」
  • 線路を流れる川
短編集 未(部分的に◯) n/a 2018年に収録作品の順番を変え、表現などを加筆修正した改訂版が出版された。
2002年 n/a 그대의 차가운 손

(あなたの冷たい手)

n/a 長編 n/a 長編第二作
2002年 n/a 내 이름은 태양꽃(私の名前は太陽花) n/a 童話 n/a 絵本作家キム・セヒョンとの合作
2003年 n/a 붉은 꽃 이야기(赤い花の話) n/a 中編 n/a 画家ウ・スンウが挿絵
2003年 n/a 사랑과 사랑을 둘러싼 것들(愛と愛を取り巻くもの) 収録内容
  • 「小説朗読」
  • その他不明
散文集 n/a
2005年 「蒙古斑」 몽고반점(蒙古斑) 『菜食主義者』に収録 中編 きむふな (2011年6月、クオン新しい韓国の文学ISBN 978-4904855027
2007年 「そっと 静かに」 가만가만 부르는 노래(静かに歌う歌) 『そっと 静かに』 詩集、散文集、エッセイ集 古川綾子 (2018年6月、クオン新しい韓国の文学ISBN 978-4904855706
2007年 「かみなりせんにょと いなづませんにょ」 천둥 꼬마 선녀 번개 꼬마 선녀

(雷子供天女ちゃんと、稲妻子供天女ちゃん)

『かみなりせんにょと いなづませんにょ』 絵本 斎藤真理子 (2025年10月、小峰書店ISBN 978-4-338-12660-1
2007年 菜食主義者 채식주의자(菜食主義者) 収録作品 中編小説集 きむふな (2011年6月、クオン、新しい韓国の文学、ISBN 978-4904855027

備考:3篇の中編からなる連作小説で、一つの長編でもある。

2005年、「蒙古斑」が李箱文学賞受賞。

2016年、一冊の本としてブッカー賞受賞

2008年 「涙の箱」 눈물상자

(涙箱)

涙の箱 童話 きむふな (2025年8月、評論社ISBN 978-4-566-02489-2
2010年 n/a 바람이 분다 가라(風が吹く、行け) n/a 長編 n/a 長編第四作

2010年東里文学賞受賞

「青い石」が元になっている。

201年 「ギリシャ語の時間」 희랍어 시간(ギリシア語時間) 韓国文学のオクリモノシリーズ1巻目 長編 斎藤真理子 長編第五作

(2017年10月、晶文社ISBN 978-4794969774

2013年 「回復する人間」 회복하는 인간 収録作品
  • 明るくなる前に
  • 回復する人間
  • エウロパ
  • フンザ
  • 青い石
  • 左手
  • 火とかげ
短編集 斎藤真理子 備考:「黄色い模様の永遠」のリニューアル版として、2018年に収録作品の順番を変え、表現などを加筆修正した改訂版として出版された。
2013年 「引き出しに夕方をしまっておいた」 서랍에 저녁을 넣어 두었다(棚に夕方を入れておいた) 目次
  • 一部 明け方に聞いた歌
  • 二部 解剖劇場
  • 三部 夜の葉
  • 四部 鏡のむこうの冬
  • 五部 真っ暗なともしびの家
  • 対談 回復の過程に導く詩の言葉──訳者あとがきにかえて
詩集 きむふな、斎藤真理子 (2022年6月、クオン、ISBN 978-4910214283
2014年 少年が来る 소년이 온다(少年が来る) 目次
  • 一章 幼い鳥
  • 二章 黒い吐息         
  • 三章 七つのビンタ
  • 四章 鉄と血
  • 五章 夜の瞳
  • 六章 花が咲いている方に
  • エピローグ 雪に覆われたランプ
  • 訳者あとがき
長編 井出俊作 備考:長編第六作

(2016年10月、クオン、ISBN 9784904855409

2015年 n/a (雪がひとひら溶ける間に) n/a 中編 n/a 黄順元文学賞受賞作
2016年 「すべての、白いものたちの」 흰(白い) すべての、白いものたちの 65の断章 斎藤真理子 (2018年12月、河出書房新社ISBN 978-4309207605

二〇一八年ブッカー賞候補

2017年 n/a (別れ) n/a 短編 n/a 金裕貞(キム・ユジュン)文学賞受賞作
2019年 「京都、ファサード」 n/a 単行本アンソロジー
  • 『小説集 韓国・フェミニズム・日本』

2020年河出書房新社)および、 文庫版

  • 『あなたのことが知りたくて 小説集 韓国・フェミニズム・日本』

2022年河出文庫に収録

短編 斎藤真理子 初出:『文藝』2019年秋季号 特集:韓国・フェミニズム・日本
2021年 「別れを告げない」 작별하지 않는다(さよならしない) 収録作品
  • 別れを告げない
長編 斎藤真理子 長編第七作

(斎藤真理子訳、2024年3月、白水社、ISBN 978-4560090916

2023年 n/a 『ジ・エッセンシャル ハン・ガン』 収録作品

【小説】

  • ギリシャ語の時間
  • 回復する人間
  • 青い石

【詩歌】

  • 明け方に聞いた歌
  • ほか四篇

【散文、エッセイ】

  • 紙のピアノ
  • ほか七篇
今までの作品を集めた作品集 未(部分的に◯) n/a n/a
2024年 n/a 깃털(羽) オンラインマガジン「보풀」

(ポプル、bopul)(「毛玉」の意味)※韓国語で書かれている。

このリンク[4]から読めるが、韓国語で書かれている。

散文 n/a 備考:ノーベル賞受賞後初めて発表された。900字程度。
2025年 「光と糸」 빛과 실(光と糸 収録作品・目次
  • 빛과 실/光と糸
  • 가장 어두운 밤에도
  • 출간 후에
  • 작은 찻잔
  • 코트와 나
  • 북향 방
  • (고통에 대한 명상)
  • 소리(들)
  • 아주 작은 눈송이
  • 북향 정원
  • 정원 일기
  • 더 살아낸 뒤
詩、散文、講演録を収録した作品集 斎藤真理子 2025年12月、

河出書房新社、 ISBN 978-4309209418

2114年(出版予定) n/a 사랑하는 아들에게[5]

(愛する息子へ)

??? n/a n/a タイトル以外の一切が公言禁止のためあらすじもページ数も不明。

書かれた年は2014年である。

リスト表示版

  • 1995年여수의 사랑(麗水の愛)(短編集)
  • 1996年흰꽃(白い花)(短編)
    • 白い花(斎藤真理子 訳、 『BRUTUS』2025年8月15日号)
  • 1999年아기부처(子供仏)
  • 2000年내 여자의 열매(私の女の果実)(短編集)
  • 2002年그대의 차가운 손(あなたの冷たい手)
  • 2002年、내 이름은 태양꽃(私の名前は太陽花)
  • 2003年붉은 꽃 이야기(赤い花の話)
  • 2003年、사랑과 사랑을 둘러싼 것들(愛と愛を取り巻くもの)
  • 2005年몽고반점(蒙古斑) -「菜食主義者」に収録
  • 2005年、검은 사슴(黒い鹿)
  • 2007年가만가만 부르는 노래(静かに歌う歌)
  • 2007年、천둥 꼬마 선녀 번개 꼬마 선녀(雷子供天女、稲妻子供天女)<児童書>
    • かみなりせんにょと いなづませんにょ(斎藤真理子 訳、2025年10月、小峰書店、ISBN 978-4-338-12660-1
  • 2007年、채식주의자(菜食主義者)
  • 2008年눈물상자(涙箱)
  • 2010年바람이 분다 가라(風が吹く、行け)
  • 2010年、아홉개의 이야기(9つの物語)
  • 2011年희랍어 시간(ギリシア語時間)
  • 2012年노랑무늬 영원(黄色模様永遠)(短編集)
  • 2013年회복하는 인간(回復する人間)(黄色模様永遠のリニューアル版)
  • 2013年、서랍에 저녁을 넣어 두었다(棚に夕方を入れておいた)<詩集>
    • 引き出しに夕方をしまっておいた(きむふな、斎藤真理子 訳、2022年6月、クオン、ISBN 978-4910214283
  • 2014年소년이 온다(少年が来る)
  • 2016年、흰(白い)
  • 2021年작별하지 않는다(別れを告げない)
    • 別れを告げない(斎藤真理子訳、2024年3月、白水社、ISBN 978-4560090916
  • 2025年빛과 실(光と糸)

関連文献

特集

記事掲載

  • 文藝』2019年秋季号
    • 短編小説 ハン・ガン「京都、ファサード」(斎藤真理子 訳)
  • 『文藝』2025年春季号 特別企画:ハン・ガン・日本中上健次
  • 文學界』2024年12月号
    • 平野啓一郎「今という時代に受賞すべき作家の受賞」
    • 櫻木みわ 「しお ゆき こおり、いつかの国語」(「すべての、白いものたちの」についての論考)

脚注

  1. ^ 韓国文学翻訳院文人DB「韓江」 (한국문학번역원 문인DB 한강)
  2. ^ 毎日新聞. “人間の存在を問う文学”. 2025年1月29日閲覧。
  3. ^ The Nobel Prize in Literature 2024”. The Nobel Prize (2024年10月10日). 2024年10月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年10月10日閲覧。
  4. ^ 구둘래,임인택 (2024年10月15日). “[단독 “심장 속 어둑한 방에…” 한강, 노벨상 수상 뒤 첫 글]” (朝鮮語). 한겨레. 2025年10月11日閲覧。
  5. ^ 韓国語で「愛する、大好きな」は2通りあり、「사랑할」と「사랑하는」がある。「사랑할」は未来形であり、この作品のタイトルに使われている「사랑하는」は現在進行の意味である。

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