非生物的特性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/02 15:00 UTC 版)
生態系は、生物の相互作用と非生物環境因子によって構成された生物群集から構成されている。水圏生態系の重要な非生物環境因子には、基質の種類、水深、栄養塩濃度、温度、塩分、流れなどがある。これらの要因の相対的重要性を決めるのは、かなり大規模な実験を行わないと難しいことが多い。複雑なフィードバックループがあるかもしれない。例えば、堆積物は水生植物の存在を決定するが、水生植物は堆積物をとらえ、泥炭を介して堆積物を増やすこともある。 水域の溶存酸素量は、水域の有機物の範囲と種類を決める上で重要な物質であることが多い。魚類は生きるために溶存酸素を必要とするが、低酸素に対する耐性は種によって異なる。植物はしばしば通気組織を作らざるをえなくなるが、葉の形や大きさが変化することがある。逆に、酸素は嫌気性細菌の多くの種にとって致命的である。 栄養レベルは多くの種の藻類の豊富さを制御する上で重要である。窒素とリンの相対的な豊富さは、事実上、藻類のどの種が優占するかを決定することができる。藻類は水生生物にとって非常に重要な食料源であるが、同時に、藻類が過剰になると、腐敗したときに魚の減少を引き起こす可能性がある。メキシコ湾などの沿岸環境における藻類の同様の過多は、腐敗時に、デッドゾーンとして知られる水の低酸素域を生成する。 水域の塩分は、水域に生息する生物の種類を決定する要因でもある。海洋生態系の生物は塩分に耐性があるが、多くの淡水生物は塩分に耐性が無い。河口やデルタにおける塩分の程度は、湿地の種類(淡水、中間水域、汽水域)や関連する動物種に重要な影響を与える。上流に建設されたダムは、春の洪水を減少させ、土砂の堆積を減少させ、その結果、沿岸湿地に塩水が浸入する可能性がある。 灌漑目的で使用される淡水は、淡水の生物にとって有害なレベルの塩分を吸収することが多い。
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