青葉被弾
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/07 14:24 UTC 版)
アメリカ艦隊が照明弾を上空に撃ち出した頃、青葉は「ワレアオバ」の発光信号を明滅させていた(ちょうど信号を終えた直後とも)。戦闘開始直後、青葉は艦橋に直撃弾を受ける。この砲弾は不発だったものの艦橋正面から後方へ貫通した一弾が艦橋を跳ね回り、戦隊司令部は一瞬で壊滅。五藤少将も左足切断の瀕死の重傷を負い、主砲射撃方位盤及び通信装置は破損。艦橋へ上がるラッタルも吹き飛ばされ、そこにいた青葉副長を含む乗組員は全員戦死した。一方で、後続の古鷹とは無線電話の連絡が取れたという記録もある。さらに4分後の2150まで青葉は集中砲火を浴び、主砲射撃所や第2・第3砲塔も命中弾を受け使用不能となり、戦闘能力を喪失した。特に地上砲撃準備の整っていた第3砲塔は装填中の零式弾及び装薬が誘爆し大火災が発生。この際、掌砲長の尾崎専造中尉が弾薬庫への緊急注水に成功。爆沈は免れたが、被弾と誘爆により弾庫員は全員戦死した。この間の砲撃は、一番砲塔の砲側照準によって主砲7発を発射したのみであった。この砲撃により青葉側では「敵巡洋艦一に大火災」を報じたが、アメリカ軍側の記録ではこの時点で被弾した艦はなく、アメリカ艦隊の発砲炎を命中弾による炎上と見間違えたという推測がなされている。 青葉艦橋はパニック状態になっていたが、第六戦隊先任参謀貴嶋掬徳中佐(当時、非番のため作戦室で待機中)が艦橋に上がりこみ、瀕死の五藤少将に歩み寄ると、「司令官、反転して再挙を図ります」と反転と艦長への指揮権委譲の許可を要請した。貴嶋中佐の機転で指揮権を引き継いだ久宗大佐(青葉艦長)は不利な態勢からの脱却を図る為、それまで取舵をとっていたところを逆に面舵をとって右反転、最大戦速での一時離脱を図った。上部構造物は大破しながらも、喫水線下と機関は無事だった青葉は煙幕を展張して全速で避退に移った。 スコット少将はアメリカ艦隊がダンカンを射撃していると不安になって射撃開始から1分後の2147に射撃中止を命じたが、興奮した部下たちを制止することは不可能だった。スコット少将が駆逐艦部隊を指揮するトビン大佐と状況確認の交信をする間も、ヘレナ等は射撃中止命令を無視して敵艦を砲撃していた。2151、同士討ちではないことを確認したスコット少将は、駆逐艦に識別信号を点滅させる命令を告げた上で砲撃再開を下令した。しかしこの時点で青葉は第3砲塔の火災を鎮火させ、煙幕を張りながらアメリカ艦隊の視界から消えつつあり、唯一青葉を砲撃していたヘレナも砲撃を中断した。2153には再度砲撃を行うものの、視界が不良であったため追撃を断念せざるを得なかった。青葉は無事に戦場を離脱した。
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