量子化されたQAM
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/25 06:17 UTC 版)
「直角位相振幅変調」の記事における「量子化されたQAM」の解説
多くのデジタル変調方式と同様に、信号空間ダイヤグラム(コンスタレーション)は役に立つ。QAM変調の場合、通常信号点は等しい垂直と水平の間隔で正方形の格子に配置される、しかしその他の構成も可能である(例えば Cross-QAM)。 デジタル電気通信において、データは通常バイナリであるので、格子の点の数は通常2の累乗である(2,4,8,16...)。QAM変調は通常四角形である(但し、後述の128QAMはnon-square QAM、すなわち正方形ではない)。最も一般的な形は、16QAM、64QAM、128QAMそして256QAMである。 高次モードに移行することで、1シンボルあたりのビットを多く伝送することができる。しかしながら、信号点の平均電力が同じの場合(公平に比較するため)、信号点はより接近することになり、雑音およびその他の妨害により弱くなり、結果として符号誤り率が高くなる。そのため信号点の平均電力が同じであれば、高次QAMは低次QAMに比べて低い信頼性で多くのデータを伝送することができる。別の言い方をすると、高次のQAMは信号点が多く確保でき伝送速度向上に資するものの、信号点距離は短くなる。これは干渉が生じやすくなり符号誤り率が高まることになる。 8PSKが提供するより、16PSK以上の高いデータ信号速度が必要なときには、QAMは信号点をより均一に割り当てるためにI-Q平面上で近傍の点との距離をより確保できるので、QAMに移行するのが一般的である。 複雑にしている要因は、信号点が全て同じ振幅というわけではなくなるということである。これにより復調器は位相のみならず、位相と振幅を正しく検出しなければならなくなる。 64QAMと256QAMが、デジタルケーブルテレビやケーブルモデムアプリケーションでしばしば使われる。米国では、ANSI/SCTE 07 2000においてSCTEによって標準化され、64QAMと256QAMがデジタルケーブルの指定された変調方式である。 移動体通信において、LTE-Advancedでは256QAMが商用化されている。次世代の5Gでは、下り方向(ダウンリンク)で1024QAMの実装が検討されている。 英国では、16QAMと64QAMが、地上デジタルテレビジョン放送に使われている。(Freeview 及び Top Up TV)。 更に情報の高度化に対応するため、地上波における4K 8Kテレビ放送の試みとして、1024QAMならびに4096QAMでの伝送がNHK放送技術研究所などで開発・公開実験がされているほか、近年開局した4K・8K衛星放送の再送信等によりチャンネル数が逼迫しているケーブルテレビへの採用も検討されている。更に有線での用途では、アメリカ合衆国とカナダではケーブルテレビ用途では(オプション扱いではあるが)16384QAMも規格化され、これらの国のADSL回線には32768QAMを用いる物もある。
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