郊外文化としてのケータイ小説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/03 06:49 UTC 版)
「ケータイ小説」の記事における「郊外文化としてのケータイ小説」の解説
幅広い年齢層に支持されるベストセラー作家の本が主に都心で消費されるのと対照的に、リアル系ケータイ小説は地方都市や郊外を中心に消費されている。 速水健朗は、取材の結果、都市型の大型書店ではケータイ小説専門の棚を設けているケースは少なかったが、郊外の大型ショッピングセンターではそういった棚を設けていることが多く、そこがケータイ小説市場を支える本丸であるとしている。そして、ケータイ小説のヒットの背景として、1980年代から1990年代にかけての書店の郊外化(出版業界における三浦展のいう「ファスト風土化」)があるとしている。 ケータイ小説の物語の中でも、(渋谷を舞台とした『Deep Love』のような例外はあるが)多くの場合作品舞台は東京ではなく地方都市に設定されており、進学や就職の際に上京するという選択肢がないことが多い。 ケータイ小説が地方で売れる理由として、杉浦由美子は3つの理由を挙げている。1つは後述するように携帯電話を持っていない中学生の層が地方に多いこと、そしてあとの2つは「出版社が文芸書を首都圏に大量供給し、売れ残りを地方に送るという流通システム」と「地方のほうが恋愛信仰が根強いこと」であるとしている。 泉子・K・メイナードは原田曜平が提唱する「新村社会」という言葉を用いて、それはケータイ文化の中の若者は地方で暮らすことを甘受することが多く、地域を共有する者たちの中で安定志向になり、人間関係を成すことで、メイナードはケータイだけで得られる新しい村に属する意識が人気の理由になっていると考えている。 中高生があまり利用しないAmazonなどのネット書店ではケータイ小説書籍はあまり売れない。Amazonのサイト上では、ベストセラーケータイ小説の『恋空』のページのカスタマーレビュー欄に、2ちゃんねるから誘導されたと思われるユーザーによる批判のレビューが殺到して炎上するという事態も発生している。 2005、6年頃に首都圏の女子中学高校生の間でメールなどで方言を使う流れがみられことからケータイ小説にも方言が使われていた。作中の舞台となっているのは歌舞伎町のような繁華街が登場することなどから関東地方だとみられるが筆者はきちんと知っているわけではない「空想関東」であり、書き手が地方出身者が多いためであるとされる。
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