郊外大規模店と都市圏の枠組みの崩壊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/05 16:22 UTC 版)
「東北地方の経済史」の記事における「郊外大規模店と都市圏の枠組みの崩壊」の解説
県庁所在地や地方都市の経済力の低下(中心業務地区の求心力低下)は、高額商品を扱う百貨店の衰退(中心商業地の求心力低下)を招き、核店舗の消えた中心部商店街の求心力の低下を招いた。また、デフレ経済と大店法の波に乗った郊外のショッピングセンターやゼネラルマーチャンダイズストアの興隆により、都市圏中心部居住者を除いて、車がない生活が出来なくなった。 郊外大規模店は「中抜き流通」と呼ばれる「卸しを通さない」流通、もしくは小売規模の拡大による「自社内流通」を行って、仙台市を初めとする卸売り企業集積地(拠点都市)に大打撃を与えた。更に、流通構造の改革は価格破壊を実現し、既存店よりも価格競争力をつけた郊外大規模店の出店攻勢により、中心商業地に重ねて大打撃を与えた。 自社内に卸し機能も含む小売店は、個人商店よりも商品種類数が多くすることが出来るため、郊外型ショッピングセンターは、規模の小さい都市の中心商業地を壊滅させ、「シャッター通り」に至らしめるには充分な種類を持ち得た。しかし、40万から50万人の都市圏の中心商業地では競合状態となり、150万人の都市圏を擁する仙台市の中心商業地・一番町および仙台駅前の全体の商品種類数には及ばなかった。 また、収益性を上げるために、さらに商品種類数を減らす場合もあり、消費者を長く満足させることはできなかった。種類数上昇の対策として、自社外流通を持つ専門店街を店鋪内に設けたりして、集客力を高める努力もしたが、収益性の問題から、高額商品やファッション性の高い衣類・バッグ・アクセサリーなどまでは商品ラインナップに入れられなかった。 このような都市圏中心部の求心力低下と郊外化により、都市圏の枠組みは崩壊する。また、1人に1台となった高度モータリゼーションにより郊外の限界はなくなり、必要とあらば、隣接都市圏や更に遠方の都市圏に訪れることが日常的になった。
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