速度制御機器
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 07:11 UTC 版)
「小田急3000形電車 (初代)」の記事における「速度制御機器」の解説
主電動機と駆動装置は既に中空軸平行カルダン駆動方式で実績のある東洋電機製造が、制御装置は電機メーカー各社の設計入札を行った結果 超多段制御方式では最軽量となった東京芝浦電気(東芝)が、制動装置(ブレーキ)は小田急において採用実績のある三菱電機が、それぞれ担当した。 3000形電車3055の走行音(さがみ5号) (本厚木-新松田間、1988年1月2日) この音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。 主電動機は出力100kW(端子電圧375V・定格回転数1,800rpm・最弱界磁率50%)の直流直巻補極付電動機である 東洋電機製造のTDK806/1-A形で、定格速度が高く、高速域からの発電制動を十分に作用させることが可能な特徴を有する。箱根登山線での上り勾配低速運転に対応するため、冷却方式は強制通風式となっている。駆動装置は中空軸平行カルダン駆動方式の東洋電機製造製DND143-SH9921形である。歯数比は78:21=3.71とした。主電動機の最大回転数は4,320rpmで、東洋電機製造では「理論上は4,300rpmで180km/hの速度が可能である」と述べている。 主制御器は、発電制動付電動カム軸式抵抗制御装置であるMM-50A形で、2・5・7号車に搭載された。特急車両であることから起動回数が少なく、起動時の損失以上に回路の簡略化が図れる ことから、直並列制御は行わずに抵抗制御及び界磁制御を行う仕様で、1台で4つの主電動機の制御を行い(1C4M)、主回路接続は4つの電動機を全て直列に接続する方式(永久4S)である。また、全ての主制御器を直列に接続することにより、これを1台の制御器とみなした上で、その「みなし制御器」により12個の主電動機の制御をおこなうことも可能である。制御段数は力行が抵抗制御14段・界磁制御3段、制動は全界磁抵抗制御による14段である が、起動時のショックを防ぐために「捨てノッチ」と呼ばれる低速段が5段設定された。軌条面との空間を確保するため、通常はレールと並行に機器を配置するところを枕木と並行に配置し、台枠横梁の間に機器箱を押し上げた状態で搭載している。 ブレーキは、電空併用 のHSC-D形電磁直通ブレーキで、ブレーキ初速125km/hから600m以内に停車することが可能である。ブレーキ装置についても軽量化が図られ、通常は電動車と付随車の平均で800kgとなるところ、SE車では500kgに抑えている。基礎ブレーキ装置は電動台車がクラスプ式(両抱え式)踏面ブレーキ、付随台車ではシングルディスク式ディスクブレーキである。ディスクブレーキについては研究所から「最高運転速度を上げるためにはディスクブレーキを使うべし」と強い主張があった ために採用された が、これも航空機で採用されていた技術からのもので、ディスクブレーキは日本の鉄道車両では初の採用事例である。なお、設計段階では空力ブレーキも検討されていた が、150km/h以下では効果が少ないため採用には至っていない。 主抵抗器は特殊リボン抵抗体を使用した強制通風式とした。
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