送金と経済効果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 03:33 UTC 版)
朴正熙は1961年11月の訪米時、アメリカの歓心と自身の政権の正当性を確保するため、当時の大統領ジョン・F・ケネディに対し、韓国軍のベトナム戦争への派兵を申し出た。派兵はケネディ暗殺後、ジョンソン政権になってからの1964年9月より開始された。当時の韓国では「ベトナム行のバスに乗り遅れるな」をスローガンに官民挙げてベトナム戦争に参加し、三星、現代などの現在にいたる財閥が急成長した。 アメリカ側は派遣された全ての韓国軍将兵に対し戦闘手当を支払い、その大半は韓国本国へ送金された。更に韓国経済が飛躍するための踏み台が2つ用意された。ひとつは、韓国製品に対するアメリカの輸入規制の大幅緩和である。これによって、韓国製品がアメリカ市場になだれ込んだ。もうひとつは、アメリカの全面的な軍事援助で、その結果、本来ならば国防費に当てるはずの国家予算を重工業などへの投資に回すことができた。これらを含むアメリカからの「ベトナム特需」の総額は十億ドル(当時で三千六百億円)を遥かに上回り、実質的には朝鮮戦争時の日本における「朝鮮特需」以上の利益を韓国にもたらした。 韓国がベトナム派兵を開始した1965年からベトナム戦争が終結する75年までの十年間に、韓国の国民総生産 (GNP) は14倍、保有する外貨および外国為替などの総額は24倍、輸出総額は29倍となって、いずれも驚異的な伸びを示した。 2017年6月6日に韓国の文在寅大統領は、顕忠日の追悼式で「ベトナム戦争参戦勇士の献身と犠牲を土台に祖国の経済が復活した」「今日の韓国経済があるのはベトナムで戦った元軍人たちの献身と犠牲があってのことです」と述べた。この韓国軍兵士によるベトナム民間人虐殺への賛辞とも受け取れる発言に対して、ベトナム外務省(英語版)は在ベトナム韓国大使館(朝鮮語版)を通じて韓国政府に抗議した。また、ベトナム外務省(英語版)はHPで「韓国政府がベトナム国民の感情を傷つけ、両国の友好と協力関係に否定的な影響を与えかねない言動をしないよう要請する」と表明した。さらに『朝鮮日報』によると、ベトナムメディアは韓国軍が9000人余りのベトナム民間人を虐殺したにも関わらず、韓国政府はこれを認めていないと批判している。
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