軍事郵便貯金・外地郵便貯金
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/08 09:16 UTC 版)
「軍事郵便」の記事における「軍事郵便貯金・外地郵便貯金」の解説
なお、帝国陸軍の野戦郵便局や帝国海軍の海軍軍用郵便所では、占領地に駐屯する軍人・軍属向けの郵便貯金である軍事郵便貯金も取り扱っており、戦争および終戦後の混乱の中で休眠口座と化してしまったものが約70万口座・約21億円、さらに、外地出身者を含む旧大日本帝国籍(一部の樺太籍を含む)の民間人が占領地や朝鮮半島・台湾など外地で預金した外地郵便貯金約1800万口座・約22億円が現代に至るまで原簿上も存在し続けている。 これらは終戦後のハイパーインフレーションや新円切替などを経て、現在では個々人単位での残高自体が現在円貨としては極めて少額となっている。例として軍事郵貯の1口座平均では約3000円程度、外地郵貯では240円である。 いずれも戦争中から終戦後における占領地や外地そのものの喪失、引揚時の混乱(税関による外地郵便貯金通帳の没収ほか)、名義人の死去や失踪(戦死、強制収容、その他行方不明)、遺族の高齢化および死去、払い戻し手続きの煩雑さから、実際に払い戻しが行われる例が年々減ってきており、その行く末が完全に宙に浮いた状態となっている なお、日本銀行の『物価指数年報』や、総務省統計局の『消費者物価指数年報』は、戦前の1931年から現在までの長期の物価統計を戦前基準指数として公表しており、この統計記録を元に計算すると、1931年から1945年までの平均物価と新円切替を挟んだ2010年代の平均物価の間には1円当たり約5200倍のインフレーションが生じている為、旧円で預金された約43億円は、2017年現在の貨幣価値では22兆3600億円にも達していた事となる。 終戦後の払戻処理に関し軍事郵便貯金等特別処理法(昭和29年法律第108号)が制定、軍事郵便貯金、軍事郵便為替、外地郵便貯金、外地郵便為替、外地郵便振替貯金につき円貨を所定の方法で換算して払い戻す事が規定された。 払戻に関する訴訟において、「昭和19年5月から昭和21年4月までの間に預入れられた軍事郵便貯金については、国は、払戻時に貨幣価値が著しく下落していても、払戻当時の貨幣で預金金額を払戻すことにより免責される」との判例がある(確定)。
※この「軍事郵便貯金・外地郵便貯金」の解説は、「軍事郵便」の解説の一部です。
「軍事郵便貯金・外地郵便貯金」を含む「軍事郵便」の記事については、「軍事郵便」の概要を参照ください。
- 軍事郵便貯金・外地郵便貯金のページへのリンク