貸金業法改正の経緯
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「グレーゾーン金利」の記事における「貸金業法改正の経緯」の解説
平成18年(2006年)2月、貸金業の監督を行う金融庁は、平成18年1月13日に出された最高裁判決を受けて、貸金業規制法施行規則(内閣府令)の改正を行うことを表明した。ただ、グレーゾーン金利の撤廃については未定とした。 また、同年4月、金融庁総務企画局長の私的懇談会「貸金業制度等に関する懇談会」では、グレーゾーン金利の撤廃について意見の一致を得た。撤廃後に、どの程度の利率で制限するかについては、出資法の上限金利(年29.2%)を、利息制限法の上限金利まで引き下げ、それ以上の金利で融資した業者に刑罰が課せられる制度とすることが望ましいとする意見が多かった。 自民党は増原義剛を委員長とした「自民党金融調査会貸金業制度等に関する小委員会」を設置した。 同年9月、金融庁がまとめた貸金業規制法改正案が明らかになったが、その内容は「貸金業制度等に関する懇談会」の答申にほど遠く、特例金利の撤廃までの猶予期間を「9年間」とし、その間は現行のグレーゾーン金利をほぼそのまま維持するという内容だった。その背景には、自民党・金融サービス制度を検討する会(甘利明代表)所属議員を中心とする族議員の圧力が存在するといわれ[要出典]、同会顧問を務める保岡興治・元法務大臣は9月8日のTBS「みのもんたの朝ズバッ!」に出演して特例金利の維持を訴えた。また、同会事務局長を務める西川公也・元郵政民営化担当副大臣は民営化後の郵貯資金を貸金業界に流すべきだと主張した。こうした動きに対し、後藤田正純・内閣府金融担当政務官が金融庁案は貸金業界への妥協の産物であると反発し、政務官を辞任した。 安倍晋三総理大臣は第165回予算委員会において野党枝野幸男の答弁に答え、「消費者の利便ということも考えなければならない」とし、グレーゾーン金利の即時撤廃については慎重な発言をしていた 紆余曲折を経て、最終的に内閣より議会に提案された法案では法公布後3年後を目処に、出資法の上限金利を20%に下げると共に貸金業法の上限金利を利息制限法と同一とし、みなし弁済の廃止、日掛金融の特例金利の廃止、総量規制の導入が盛り込まれた。 同法案は、衆参両院で全会一致で可決され、2006年12月20日に公布、2007年12月19日に施行された。上限金利については、2009年12月19日を目処に引き下げされる見込みである。(法令上では2010年6月18日迄に引き下げ。)
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