警察不正経理問題
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1984年には既に元内閣調査室主管・松橋忠光(警察庁より出向、警視監)が著書『わが罪はつねにわが前にあり』で警察の組織的不正経理の実態を告発していた。ところが当時警察庁は同書に対し「コメントする内容のものではない」と無視した。また、1987年にも、元兵庫県警巡査・松本均が、著書『交番のウラは闇』などで、兵庫県警に於ける組織的な裏金作りや、超過勤務手当の不払い等の不正を告発していた。 警察不祥事が続くなか、今度は不正経理問題が内部告発や自主申告の形で公表された。このような体質が全国で常態化しているといわれている。 2004年に入って、北海道警察で不正経理に直接かかわっていたとする道警ナンバー3の地位にいた原田宏二元警視長が実態を告発したことに触発され、宮城県警察・福岡県警察・静岡県警察・愛知県警察・島根県警察・熊本県警察の元職員による告発が続出し、不正支出金問題が全国規模で表面化した。 全国市民オンブズマン連絡会議が2004年から行った「警察裏金追及」キャンペーンでは、7道県警で12億2223万4259円を返還させた(2007年12月21日現在)。 警察の不正経理問題が表面化してから、大量の会計文書が「誤って廃棄」されるという事件が、全国の警察で続発している。警察庁のまとめでは計604人が「処分」されたことになっている。しかし、「破棄は組織的に行われた」「処分と言っても軽すぎる」「疑惑の引きだ」との強い批判の声が、警察の裏金問題を告発してきた元警察官や警察関係者から上がっている。 廃棄された文書は、捜査費証拠書類、旅行命令簿、物品取得書などの裏金作りに関係ある証拠文書ばかりである。警察庁の文書の保存期間は、5年間であるが、2004年3月に保存期間を延長した。その延長したにもかかわらず「誤って」破棄された。破棄は警察庁をはじめ、北海道、警視庁、その他37府県にまたがっている。 宮城県では、浅野史郎知事が県警への不信感をあらわにして、不正経理問題の温床とみられた捜査報償費の予算要求を大幅減額査定するなど知事と県警の対立が続いた。しかし、浅野の不出馬で実施された知事選で浅野の後継指名者を破り当選した村井嘉浩は、当選後すぐに捜査報償費を要求額の満額執行を認め不正経理問題をうやむやにして終結させた。 愛媛県警察では、告発した鉄道警察隊員の仙波敏郎が拳銃を没収された上に職務経験とは何の関係もない通信指令室付(本人を流す為にわざわざ新設された左遷用部署)となり、果ては昇進まで拒否された(巡査部長級に留め置き)。県人事委員会が不当人事と認め、警察本部に対し原職復帰させるよう命じる騒ぎとなった。更に2007年9月、県を相手取った損害賠償請求訴訟でも勝訴。 2008年から2010年にかけて、千葉県警察・岩手県警察・滋賀県警察・広島県警察・山形県警察で、2011年には石川県警察で不正経理が発覚したが、全てもみ消されている。
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