記憶喪失性貝毒原因微細藻とは? わかりやすく解説

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記憶喪失性貝毒原因微細藻 [Amnestic shellfish poisoning microalgae]

 記憶喪失性貝毒(amnesic shellfish poison: ASP) は1987年カナダプリンス・エドワード島ムラサキイガイ摂食によって、3人の死者を含む100人以上の中毒患者がでた事件発端になって、その存在明らかになった新しタイプ貝毒である。中毒症状痙攣(けいれん)や吐き気とともに記憶がなくなる点が特徴的である。原因になる毒成分興奮性アミノ酸1種であるドーモイ酸(domoic acid: DA)であることが明らかにされたが、その原因生物渦鞭毛藻ではなく珪藻であったことで注目集めた。現在、カナダでは二枚貝可食部1gあたり20μgドーモイ酸検出され場合はそれらの出荷規制されている。中毒事件ひきおこした原因珪藻はシュードニッチア・マルチセリーズ(Pseudonitzschia multiseries)であるとされていたが、その後同属他種珪藻(P.australis, P .seriata, P.delicatissima, P.pseudodelicatissima)もドーモイ酸産生することが認められている。
これらの珪藻両端とがった針状細胞で、大きさは種によって違うが、細胞長さは40-160μm、幅は1.0-8.0μm範囲にある。また、全て浮遊性長い連鎖群体をつくる。これらの種は広く世界的に分布しアメリカでは毒化した貝によって水鳥大量に斃死(へいし)した例があり、わが国でも古くから記録されていた。
この珪藻による中毒事件これまでのところ、前記の1例のみであるが、アメリカ北部カナダヨーロッパオーストラリアニュージーランドなどでは、二枚貝ドーモイ酸存在することが明らかにされており、ドーモイ酸産生するシュードニッチアも同時に分離されている例が多い。わが国でもごく最近岩手県大船渡湾での調査で、貝類毒化低レベルではあるものの、この有毒珪藻生息していることが明らかにされた。
一方ドーモイ酸は既に竹本ら(日本)によって、海藻1種ハナヤナギから単離され構造明らかにされている駆虫成分である。また、この物質海藻マクリ(海人草)の駆虫成分であるカイニン酸(kainic acid)と構造類似している。なお、原因珪藻がかなり普遍的に分布しているにもかかわらず中毒例が1例しかない理由毒化メカニズム今のところ不明である。




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