記憶喪失性貝毒原因微細藻 [Amnestic shellfish poisoning microalgae]
これらの珪藻は両端がとがった針状の細胞で、大きさは種によって違うが、細胞の長さは40-160μm、幅は1.0-8.0μmの範囲にある。また、全てが浮遊性で長い連鎖群体をつくる。これらの藻種は広く世界的に分布し、アメリカでは毒化した貝によって水鳥が大量に斃死(へいし)した例があり、わが国でも古くから記録されていた。
この珪藻による中毒事件はこれまでのところ、前記の1例のみであるが、アメリカ北部、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドなどでは、二枚貝にドーモイ酸が存在することが明らかにされており、ドーモイ酸を産生するシュードニッチアも同時に分離されている例が多い。わが国でもごく最近、岩手県大船渡湾での調査で、貝類の毒化は低レベルではあるものの、この有毒珪藻が生息していることが明らかにされた。
一方、ドーモイ酸は既に竹本ら(日本)によって、海藻の1種ハナヤナギから単離され、構造も明らかにされている駆虫成分である。また、この物質は海藻マクリ(海人草)の駆虫成分であるカイニン酸(kainic acid)と構造が類似している。なお、原因珪藻がかなり普遍的に分布しているにもかかわらず、中毒例が1例しかない理由や毒化のメカニズムは今のところ不明である。
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