観光特急の原点に回帰 - VSE車の登場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 02:10 UTC 版)
「小田急ロマンスカー」の記事における「観光特急の原点に回帰 - VSE車の登場」の解説
ところが、日常的な特急の利用者数が増加する一方で、箱根特急の利用者数は大幅に減少していた。1987年の箱根特急の年間利用者数は550万人であったが、2003年の利用者数は300万人程度にまで落ち込んでいたのである。この理由を調べると、バブル崩壊後の景気低迷もあって箱根を訪れる観光客自体も減少傾向にあったほか、EXE車には「小田急ロマンスカーのイメージ」とされた展望席が存在しなかったことが挙げられた。また、2001年から運行を開始したJR東日本の「湘南新宿ライン」も2004年には運行区間が延長され、特急ロマンスカーとあまり変わらない所要時間で新宿と小田原を結ぶようになった。 このような状況下、2002年からは箱根特急へのてこ入れが開始されることになった。宣伝ポスターも、ロマンスカーを大写しにするのではなく、あくまで風景の一部としてロマンスカーを取り入れる施策に変更した。この時考案された「きょう、ロマンスカーで。」のキャッチコピーは、2018年現在に至るまで使用されている。また、ロマンスカーの看板車両として、前面展望席のあるHiSE車を再び起用することになったが、そのHiSE車は登場した1987年当時の時点では全く想定していなかったバリアフリー対応が困難であることから、更新は行なわずに小田急は苦渋の決断で新型特急車両で置き換えることになった。新型特急車両は、「もはやロマンスカーとは名乗らないくらいの覚悟で、新しい発想を取り入れる」か、「ロマンスカーの原点に立ち返り、ロマンスカーの中のロマンスカーとする」という2つの方向性があったが、後者の方向性で進められることになった。 こうして、2005年に「小田急ロマンスカー」ブランドの復権を掲げ、小田急の新たなフラッグシップモデルとして50000形が登場した。50000形は前面展望席と連接構造を採用し、乗り心地向上のために車体傾斜制御や台車操舵制御などを取り入れたほか、「箱根へ向かう乗客にときめきを与え、乗った瞬間に箱根が始まる」ことを目指した車両で、客室内の様式から "Vault Super Express" 、略して「VSE車」と呼ばれる車両である。VSE車の登場後、箱根を周遊するための乗車券である「箱根フリーパス」の販売枚数は、2006年に49万8000枚だったものが、2009年には74万枚に増加した。 なお、2004年12月には再度ロマンスカーの愛称の整理が行われ、箱根特急は全て「はこね」、箱根湯本に乗り入れない小田原線の特急は停車駅に関わらず「さがみ」という愛称に変更された。その影響により、「サポート」の愛称は登場わずか6年ほどですべて廃止されている。
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