規矩術(古式規矩)
主名称: | 規矩術(古式規矩) |
ふりがな: | |
認定区分: | 個人 |
種別: | 建造物 |
選定年月日: | 1991.11.16(平成3.11.16) |
解除年月日: | |
解説文: | 規矩【きく】術は矩【かね】尺(曲尺)を駆使し建造物各部の立体的な納まり、例えば反り上った軒などの複雑な納まりを定める技術で、我が国では古代から存在するが、次第に着実な発展と進歩をみせ、中世末期に至って大成し、工匠間の秘伝として伝承されてきた。この技術は我が国の歴史的な建造物の性格を知るうえでも不可欠のものである。 文化財建造物のもつ古代の規矩を調査してその実態を明らかにし、あわせて修理に当たって、その建造物本来の特性を正確に再現する技術は、文化財建造物の保存修理において最も重要なものの一つである。 |
規矩術(近世規矩)
主名称: | 規矩術(近世規矩) |
ふりがな: | |
認定区分: | 個人 |
種別: | 建造物 |
選定年月日: | 1993.03.03(平成5.03.03) |
解除年月日: | |
解説文: | 規矩術は、指矩【さしがね】を駆使して反り上がった軒など建造物各部の立体的な複雑な納まりを定める技術であり、わが国の伝統的な木造建築修理の設計・施工に欠くことができない。中世の末期に至って大成し、工匠間の秘伝として伝承されてきた。近世になって和算の興隆とともに理論づけられ、工匠にとって必須の知識と技術として今日に受け継がれてきている。しかし、昨今の建築業界では、高度な規矩術を必要とする本格的な木造建築が少なくなり、その技術は次第に低下しつつある。 近世以前の規矩は、基本的な要点をおさえるだけで細部は経験に基づいて建物ごとに臨機に納めたとみられるが、近世の規矩は立体機何学の理論に基づいて精緻に構成されている。 建造物の修理にあたっては近世規矩の知識が基本となっており、この技術の理解は中世の規矩を把握するうえでも重要である。 このように近世規矩は建造物の修理にあたり、最も重要な技術の一つである。 なお、この技術は昭和五十五年に選定保存技術に選定され、上田虎介【あげたとらすけ】氏が保持者に認定されたが、昭和五十九年同氏が死亡したため選定解除されたものである。 近世規矩術は文化財建造物の修理にあたって必要不可欠の技術であるが、これを高度に体得している者は少ない。 |
規矩術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/05/06 23:34 UTC 版)
規矩術(きくじゅつ、規矩法とも)は、木造大工の加工技術の一つで木造建物の仕口・継手その他接合部分など、部材の形状全般を規および矩によって作り出す手法[1]。「規」(ぶんまわし)はコンパス、「矩」は曲尺(かねじゃく、指矩(さしがね)とも)や定規を意味する[2]。
概要
歴史的には古代にまでさかのぼるとされるが、当初は経験・言い伝えによる工匠間の秘伝であった。江戸時代に入ると和算などの他の学術とともに理論化され、江戸幕府の大棟梁平内延臣(1791-1856)によって大成した。単に部材加工の技術としてだけではなく、部材寸法の組み合わせや比率、間取りや高さの決定の基準にまで、その理論は展開されている。
縦(垂直)・横(水平)・斜めに複雑に組み合う木造建築の接合部分を、曲尺一本で巧みに作り上げていく技術は相当に洗練されたものであり、その習得にはかなりの修行と経験を要する。そのため、伝統建築としての木造軸組工法(在来工法)においては、十分に規矩術を身に付けていない大工が非常に増えており、日本の建築において伝統の継承が難しい局面もある。
いっぽう、2x4工法などの簡便な木造技術が欧米から移殖され、現今の一般戸建住宅市場においては、このように技術取得の困難な在来工法は敬遠され、本来の規矩術はその伝承技術が求められる寺社建築の建造あるいは保存文化財の修復などに限定されつつある。
出典
参考文献
- 山本潔 『日本における職場の技術・労働史 1854~1990年』 東京大学出版会、1994年3月。ISBN 978-4130560429。OCLC 31125828。
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