裁判の時系列
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開門・非開門派による裁判は多数乱立し、一時期7件が同時に進行した。2019年現在でも、長崎地裁だけで3件の開門請求裁判が係争中である。さらに営農側でも「開門と野鳥食害の損害賠償請求訴訟」があり、今後「農地の整備不良で営農が破綻した」とする損害賠償請求も予定している。以下は主な訴訟のみ掲載している。 2004年8月、佐賀地方裁判所(一審) - 工事中止の仮処分を決定。 2005年5月、福岡高等裁判所(二審) - 工事中止の仮処分を取り消し。 2007年11月、干拓事業完成。 2008年6月、佐賀地裁(一審) - 開門を命じる。 2010年12月、福岡高裁(二審) - 水門開放を命令。菅首相、控訴せず。判決確定。 2013年11月、長崎地方裁判所(一審) - 水門開放請求を棄却。当面、開門してはならない。 2014年4月、佐賀地裁 - 開門しなければ制裁金を支払えと命令。(1人1日1万円) 2014年6月、長崎地裁 - 開門すれば制裁金を支払えと命令。 2014年6月、福岡高裁 - 長崎地裁の制裁金の判断は妥当である。 2014年12月、佐賀地裁 - 開門命令の判決を無力化せず。国側敗訴。2018年7月の福岡高裁へ。 2015年1月、最高裁判所 - 制裁金の判断は矛盾していても、どちらも有効と認める。判決確定。 2015年3月、佐賀地裁 - 国が開門しないので、制裁金を倍額に増やせ。 2015年9月、福岡高裁(二審) - 水門開放請求を棄却。 2015年6月、福岡高裁(二審) - 佐賀地裁の倍額増額判断は妥当。最高裁へ。 2015年12月、最高裁 - 佐賀地裁の倍額増額判断は妥当。判決確定。(1人1日2万円へ) 2016年1月、長崎地裁 - 和解勧告するも2017年3月に決裂。交渉打ち切り。 2017年4月、長崎地裁 - 開門を差し止める判決。 2018年3月、福岡高裁 - 和解勧告するも2018年5月に決裂。 2018年7月、福岡高裁(二審) - 漁業権が消滅しているとして、漁協への制裁金支払い停止を認める。また漁協側に開門を求める権利も消滅している(2014年12月佐賀地裁の上告審)。最高裁へ。 2019年6月、最高裁 - 漁業者による開門を求めた訴訟及び営農者による開門差し止めを求めた訴訟の上告を棄却。判決確定。 2019年9月、最高裁 - 2018年7月福岡高裁の上告審。福岡高裁へ差し戻し。高裁判決を破棄。開門しない方針での解決を示唆。 2020年2月、福岡高裁 - 国が潮受け堤防排水門の開門を強制しないよう求めた訴訟の差し戻し審が始まった。 2021年10月、高裁が提案した和解協議に入るかどうかの話し合いが打ち切られ、次回期日の12月1日に結審、年度内に判決を出すとの見通しが報じられた。 主な裁判(太文字は重要な審判や現状を表す)原告被告訴訟名地裁判決福岡高裁判決最高裁判決漁業者国 佐賀・開門請求 2008年6月:開門命令 2010年12月:漁業被害を認め、5年間は開門すること(上告せず確定) 実施せず 漁業者国 佐賀・間接強制申立 2014年4月:開門するまで漁民1人に日額1万円支払え後に日額2万円に増額 2014年7月:国の抗告を棄却漁民1人あたり年間730万円の制裁金支払い開始 2015年1月:国の抗告を棄却。相反する義務を負うことになっても、根拠となる司法判断がある以上、間接強制を決定できる 営農者国 長崎・間接強制申立 2014年6月:開門したら農民1人あたり日額1万円支払え 漁業者国 長崎・開門請求(1次) 2011年6月:開門請求を退ける国に1億1100万円の賠償命令 2015年9月:堤防と漁業被害には因果関係なし。賠償命令は取消。開門は多くの住民を危険に晒し、開門するに妥当な理由なし。 2019年6月26日:漁業者側の上告を退け、高裁判決が確定。非開門維持を認める 営農者国 長崎・開門差し止め請求 2013年11月:開門差し止めの仮処分決定当面開門してはならない。 漁業者国 長崎・開門請求(2次・3次) 係争中 国漁業者 制裁金支払い停止 2014年12月:制裁金支払い停止認めず 2018年7月:制裁金支払い停止認める漁業権は既に失われており、開門を求める権利もない。 2019年9月:高裁判決を破棄。差戻しを命じる。
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