被害・記録
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 09:25 UTC 版)
巨大波はしばしば船舶の転覆・沈没・操船不能などの原因となる。2008年に発生した千葉県沖の漁船転覆事故では、波高2~3メートルの中で100トンを超える漁船がパラシュートアンカー(en)を使用していたにもかかわらず転覆しており、巨大波の存在が指摘されている。また、1993年に福島県沖で発生した漁船沈没事故(漁船第五龍神丸沈没事件)でも、原因として巨大波が挙げられている。 また巨大波は海岸に達することもあり、磯釣りでも注意が必要である。 さらに、数万トン級の大型タンカー・客船でも遭遇した際、最悪の場合は沈没にいたることがある。大型船の遭遇例としては、1933年の米海軍給油艦USS Ramapo、1980 年のイギリス汽船Derbyshirの事故、1980年の尾道丸(船首切断後曳航中沈没)などが挙げられる。近年でも、1995年に大型客船「クイーン・エリザベス2」が29メートルの巨大波に遭遇したほか、2001年に南大西洋を航行中の「ブレーメン」、「カレドニアン・スター」(船名は当時)が30メートルの巨大波の被害にあっている。 長らく専門家の間では、波高30メートルに達するような巨大波は希にしか観測されないため詳しく扱われなかった。しかしこのほかにも、大型タンカーや大型コンテナ船が年間平均10隻被害にあっており、専門家の見解と被害の実態に齟齬が生じていた。2001年以降、欧州宇宙機関が衛星画像を用いて巨大波の研究を行い、地球全体で見ると外洋では30メートル級の巨大波の発生はそれほど珍しいものではないと報告している。 世界気象機関において波の記録は「有義波高」が用いられる。有義波高は一定時間に発生する連続した波のうち、波高の高い方から順に選んだ1/3の波の高さの平均値を指す。一発だけの高さの巨大波の記録については、2013年にアイスランドとイギリスの間の北大西洋で観測された25メートル超(有義波高としては19メートル)、2017年にニュージーランド南方約640キロの南太平洋上で観測された19.4メートル(有義波高としては10.4メートル)という記録がある。
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