艦載砲としての速射砲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/04 01:24 UTC 版)
小型の水雷艇が大型艦の脅威になるとこれを撃退するために小口径で発射速度の高い火砲を装備する必要が発生した。QF3ホッチキス速射砲はまさにそのために開発された速射砲で多くの国の艦艇に装備された。 艦砲における速射砲は現在のところ口径40mm以上で毎分30 - 40発以上発射可能なものを指すことが多い。対空目標への使用も可能で、今ではミサイルに次ぐ水上艦の主武装となっている。速射砲の中でもっとも普及しているものの一つがイタリアのオート・メラーラ社製の127mmコンパクト砲(マウント重量約37トン)と76mmコンパクト砲/スーパーラピッド砲(マウント重量8トン)で、西側諸国で多く使用されている。 アメリカ海軍は自国で開発したMk.42 5インチ(127mm)単装速射砲の信頼性が低い割に重かったことをうけ、現在、信頼性の向上や軽量化を図ったMk.45 5インチ単装砲を主に使用している。Mk.45は、オート・メラーラ127mm砲に比べると軽量である(約22トン)代わりに発射速度が毎分20発程度に抑えられ、旋回速度も他国の速射砲に比べると低くなっており、速射砲には分類されない。またイタリア製の76mmコンパクト砲がMk.75として採用されて、オリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲートや沿岸警備隊のカッターに搭載されたほか、現在、スウェーデン・ボフォース社のボフォースMk.3 57mm砲がMk.110 CIGS(Close-In Gun System)として採用され、ズムウォルト級ミサイル駆逐艦や沿海域戦闘艦、カッターに搭載されつつある。 海上自衛隊では、むらさめ型までの汎用護衛艦(DD)、あぶくま型までの護衛艦(DE)がオート・メラーラ 76mmコンパクト砲を、たかなみ型とこんごう型でオート・メラーラ 127mmコンパクト砲を、たちかぜ型、はたかぜ型、はるな型、しらね型がMk.42を採用している。あたご型およびあきづき型からはMk.45を採用したが、これはこんごう型のオート・メラーラ127mm54口径砲においてイージスシステムとの適合が悪かった事の反省による。 主な艦砲の比較AGSH/PJ-45A-192M(ロシア語版)Mk45 Mod 4127mm/54CMle.6876mm C/SRMk110 CIGS砲身数単装 口径155 mm 130 mm 127 mm 100 mm 76 mm 57 mm 砲身長62口径 70口径 62口径 54口径 55口径 62口径 70口径 重量106 t 50 t 不明 28.924 t 37.5 t 22 t 12 t 7.5 t 要員数完全自動 不明 3名 6名 2-8名 無人 給弾手3名 完全自動 仰俯範囲+70°/ -5° +75°/ -12° +65°/ -15° +83°/ -15° +29° +85°/ -15° +77°/ -10° 旋回範囲全周 不明 340° 330° 40° 全周 発射速度10発/分 40発/分 30発/分 16-20発/分 45発/分 78発/分 80発/分(C)120発/分(SR) 220発/分 冷却方式水冷 不明 空冷 水冷 最大射程118,000 m 29,500 m 23,000 m 37,000 m 23,000 m 17,000m 18,400m 21,000 m
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