舌切雀とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > 舌切雀の意味・解説 

したきり‐すずめ【舌切り×雀】

読み方:したきりすずめ

日本の昔話原型宇治拾遺物語に「腰折れ雀」の話がみえる。心やさしい爺(じじ)のかわいがっていた雀が糊(のり)をなめたので、意地悪な婆(ばば)は怒ってその舌を切って追い出す。爺は雀の宿をたずねて土産に軽い葛籠(つづら)をもらって帰ると、中には宝物つまっていた。これを見た婆は欲張って重い葛籠もらって帰るが、それには毒虫などが入っていたという話。


舌切雀

作者太宰治

収載図書昭和文学全集 第5巻
出版社小学館
刊行年月1986.12

収載図書お伽草紙
出版社三心出版社
刊行年月1998.12
シリーズ名大活文芸選書

収載図書お伽草紙新釈諸国噺
出版社岩波書店
刊行年月2004.9
シリーズ名岩波文庫

収載図書大活字版 ザ・太宰治全小説全二冊 上巻
出版社第三書館
刊行年月2006.10

収載図書お伽草紙
出版社未知谷
刊行年月2007.4


舌切雀

作者大庭みな子

収載図書新輯お伽草紙
出版社河出書房新社
刊行年月1990.1


舌切雀

読み方:シタキレスズメ(shitakiresuzume)

分野 赤本

年代 成立年未詳

作者 作者未詳


舌切り雀

(舌切雀 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/09 06:42 UTC 版)

葛飾北斎画:『舌切すずめ』
河鍋暁斎画:『舌切すずめ』
『おもゐつゝら』(月岡芳年新形三十六怪撰』)

舌切り雀(したきりすずめ)とは、日本おとぎ話の一つである。

あらすじ

むかしむかしあるところに、心優しいお爺さんと欲張りなお婆さんの老夫婦がいた。ある日、お爺さんは怪我をしていたを家に連れ帰って手当てをした。に帰そうとしたが雀はお爺さんにたいそう懐き、お爺さんも雀に情が移り、名をつけて可愛がることにした。しかし、雀を愛でるお爺さんの様子をお婆さんは面白くなく思っていた。

お爺さんが出掛けたある日、お婆さんが井戸端で障子の張り替えに使うために作った(続飯)を雀は食べてしまった。怒ったお婆さんは「悪さをしたのはこのか」と雀の舌をハサミで切ってしまい、痛がる雀にお構い無しに「どこにでも行ってしまえ」と外に放ってしまう。

そのことを聞いたお爺さんは、雀を心配して山に探しに行く。藪の奥に雀たちのお宿があり、中からあの雀が出てきてお爺さんを招き入れてくれた。雀は、お婆さんの糊を勝手に食べてしまったことを詫び、怪我をした自分を心配して探しに来てくれたお爺さんの優しさに感謝を伝えた。そして仲間の雀たちとたいへんなご馳走を用意してくれ、歌や踊りで時が経つのを忘れるほどもてなしてくれた。帰りにはお土産として大小2つのつづらが用意されていた。お爺さんは「自分は年寄りなので小さい方のつづらで十分」と伝え、小さなつづらを背負わせてもらい、「家に着くまでは開けてはならない」と約束され、雀のお宿をあとにする。

無事に家に帰り着いたお爺さんは、早速つづらを開けてみると、中にはサンゴ宝珠の玉や小判が詰まっていた。欲張りなお婆さんは「大きなつづらにはもっとたくさん宝物が入っているに違いない」と、雀のお宿に押しかけて大きい方を強引に受け取る。雀たちから「家に着くまでは開けてはならない」と言われたが、帰り道で待ち切れずに約束を破ってつづらを開けてみると、中から魑魅魍魎が溢れるように現れ、お婆さんは腰を抜かし気絶してしまう[注釈 1]。その話を聞いたお爺さんは、お婆さんに「無慈悲な行いをしたり、欲張るものではない」と諭した。

原典・類話

さるかに合戦かちかち山など、多くの民話の類がそうであるように、この話も本来言い伝えられて来たものは残酷でグロテスクな内容を含んでいる。老人は雀の宿を探すために何人もの人に道を聞くが、彼らは引き替えに小便を老人に飲ませるなどといった場面がある[注釈 2]明治時代以後、子供にふさわしい物語とするためこうした過激な部分は削除され、おとぎ話としての形が整えられた。このように、おとぎ話は時代背景や世相に伴い、内容が改変されていくことが多い。江戸時代の赤本や明治時代の巖谷小波によって広く知られている昔話だが、その影響でないものも各地に存在する。宇治拾遺物語の「腰折雀」は報恩譚としてとらえられるが、舌切り雀は試練を得て異境を訪問するので似ているが話の源が違うと考えられる。またその他の話として「孝行雀」、「雀の粗忽」、「雀の仇討」、「雀酒屋」などがあり、穀物の招来・管理に雀が関わっている場合が多い。

パロディ

太宰治1945年に執筆した『お伽草紙』の中に『舌切り雀』が収録されている。『お伽草紙』は中期太宰文学特有のユーモアにとんだ語り口で御伽噺四篇を太宰流に解釈しなおした作品である。

比喩

「心に思うことをうまく表現できない人」や「家を追い出される人」を「舌切り雀」と表現することがある[1]。これは舌を切られた雀の様子に例えたものである。

また「出ていったきりで帰ってこない人」を「行ったきり雀」と表現することがある[2]。さらに「着た切り」に「舌切り雀」をかけた「着た切り雀」という語彙もある[3]

脚注

注釈

  1. ^ 妖怪に食い殺されてしまう、または、妖怪から命からがら家へ逃げ切り改心するという説もある。また、お婆さんは約束を守り自分からつづらを開けなかったが、手を離した瞬間に自然につづらが開いてしまったとする説もある。
  2. ^ この部分は、馬や牛の洗い水か直接馬や牛を洗うに変更されたバージョンもある。

出典

参考文献

  • 野村純一、佐藤凉子、大島広志 ほか 編『昔話・伝説小事典』みずうみ書房、1987年11月。ISBN 4838031084 

関連項目

外部リンク



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「舌切雀」の関連用語

舌切雀のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



舌切雀のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの舌切り雀 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS