宇治拾遺物語とは? わかりやすく解説

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うじしゅういものがたり〔うぢシフヰものがたり〕【宇治拾遺物語】

読み方:うじしゅういものがたり

鎌倉初期説話集15巻編者未詳建保年間1213〜1219)の成立か。貴族説話仏教説話民間説話など197話を収める仏教的色彩が濃い。


宇治拾遺物語

読み方:ウジシュウイモノガタリ(ujishuuimonogatari)

鎌倉時代説話集編者不詳


うじしゅういものがたり 【宇治拾遺物語】

鎌倉初期説話集編者不詳日本インド中国にわたる説話一九七話を収録し仏教関係の話が三分の一強を占める。一五巻。

宇治拾遺物語

読み方:ウジシュウイモノガタリ(ujishuuimonogatari)

分野 説話集

年代 鎌倉前期

作者 編者未詳


宇治拾遺物語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/04 09:17 UTC 版)

『宇治拾遺物語』より「御堂関白殿の犬」(岳亭春信画)

宇治拾遺物語』(うじしゅういものがたり)は、鎌倉時代前期(建暦2年(1212年)~承久3年(1221年))成立と推定される[1]日本説話物語集である。編著者は未詳。

概要

題名は、佚書宇治大納言物語』(宇治大納言源隆国が編纂したとされる説話集、現存しない)から漏れた話題を拾い集めたもの、という意味である。他にも拾遺(侍従の別官名)俊貞のもとに原本があったことからの呼び名とも[1]

全197話[1]から成り、15巻に収めている。古い形では上下の二巻本であったようだ。

収録されている説話は、序文によれば、日本のみならず、天竺(インド)や大唐(中国)の三国を舞台とし、「あはれ」な話、「をかし」な話、「恐ろしき」話など多彩な説話を集めたものであると解説されている。ただ、オリジナルの説話は少ない。先行する説話集と酷似する話が、『今昔物語集』とは約60話、『古本説話集』とは23話、『古事談』とは20話ある[1]。他にも『十訓抄』『打聞集』などに類似の話が見られる。

貴族から庶民まで、幅広い登場人物が描かれている。また、日常的な話題から滑稽談まで、と内容も幅広い。
「芋粥」や「絵仏師良秀」は芥川龍之介の短編小説の題材に取り入れられている。

『宇治拾遺物語』に収録された説話の内容は、大別すると次の三種に分けられる。

  • 仏教説話(破戒僧や高僧の話題、発心往生談など)
  • 世俗説話(滑稽談、盗人や鳥獣の話、恋愛話など)
  • 民間伝承(「雀報恩の事」など)

民間伝承には、「わらしべ長者」や「雀の恩返し」「こぶとりじいさん」などなじみ深い説話が収められている。仏教に関する説話も含むが、どちらかというと猥雑、ユーモラスな話題(比叡山稚児が幼さゆえの場違いな発言で僧侶の失笑を買う、等)が多く、教訓や啓蒙の要素は薄い。信仰心を促すような価値観に拘束されておらず、自由な視点で説話が作られている。その意味において、中世説話集の中では特異な存在である。後世の『醒睡笑』などに影響を与えた[1]

成立

建暦2年(1212年)~承久3年(1221年)成立と推定される[1]。序文では、この説話集の成立の経過について、次のようなことが書かれている。

  1. まず、「宇治大納言」と呼ばれた貴族、隆国によって書かれたという『宇治大納言物語』が成立した(現在は散佚)。
  2. その後、『宇治大納言物語』が加筆・増補される。
  3. この物語に漏れた話、その後の話などを拾い集めた拾遺集が編まれた。

いずれにしても、成立について諸説あるが、『古事談』を直接の出典としている話が包含されていることにより、その成立期である建暦期であるとする説や、第159話に「後鳥羽院」という諡号が出てくるのでこの諡号が出された仁治3年(1242年)以後まもなく、とする説もある。

現存の『宇治拾遺物語』はこうして成立したらしいが、3.がさらに抄出された版であるという見方もなされている。一方で、この序文自体が編者もしくは後世の創作であるとする説もある。

書名について

序文によれば、書名の「宇治」は、この作品の元となった『宇治大納言物語』に由来するとされている。一方、「拾遺」について、序文では、『宇治大納言物語』に漏れた話を拾い集めたことから名付けられたとする説(「宇治にのこれるをひろふと付たるにや」)と、「侍従」を唐名で「拾遺」と呼ぶことから「侍従大納言」を指すとする説(「また侍従を拾遺といへば、侍従大納言はべるをまなびて」)の二つを挙げ、その真偽については「おぼつかなし」と結論づけている。

室町時代三条西実隆が記した『実隆公記』の文明7年(1475年)の記事に、11月11日から19日にかけて『宇治大納言物語』『宇治拾遺物語』『宇治亜相物語』を読んだ記録があり、これらが同一の書を指すと考えられることから、『宇治拾遺物語』という書名の原拠を、拾い集める方の「拾遺」ではなく、侍従の唐名としての「拾遺」に求める説を積極的に支持する見方もある[2]

原典

二十数種の伝本があり、古本系と流布本系に大別される。前者は宮内庁書陵部御所本が代表的な伝本。後者は万治二年板本で、挿絵入りで、内閣文庫他に現存する。

脚注

  1. ^ a b c d e f 新人物往来社『日本奇書偽書異端書大鑑』新人物往来社〈別冊歴史読本 ; 43〉、1994年、16頁。 NCID BN14300584 都留文科大学教授 中野猛による解説。
  2. ^ 小峯和明 (1975-02-20). “宇治拾遺物語の成立と宇治大納言物語”. 国文学研究 (早稲田大学国文学会) 55巻: 56-68. 

関連文献

関連項目

  • 地獄変』- 「宇治拾遺物語」の「絵仏師良秀家の焼くるを見て悦ぶ事」に取材して創作された芥川龍之介の短編小説。
  • 神州纐纈城』 - 同じく宇治拾遺物語内の「慈覚大師纐纈城に入り給ふ事」から想を得た、国枝史郎の歴史伝奇小説。

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