自己イメージスクリプトとウェルビーイング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/08/26 06:36 UTC 版)
「自己イメージスクリプト」の記事における「自己イメージスクリプトとウェルビーイング」の解説
宗像は、不快感をつくりだす自己抑制型などの自己イメージスクリプトは、「見ない、聴かない、言わない、感じない、考えない、かかわらない、あるいは攻撃する」ことで生き残るサバイバル脚本であるとした(宗像、2009年)。そのサバイバルのための自己イメージスクリプトに基づく認知や行動は、不快感情のみならず、身体不調や、自分でコントロールできない行動の存在が示す不良なウェルビーイングをつくりだしやすい。たとえば、自己抑制型の自己イメージスクリプトを測定する尺度項目には、「自分は気持ちを抑えてしまいやすい方である」という項目があるが、自分の気持ちをもし抑えないとどのような感情が生まれますかと聞くと、「不安」という。それを心の声にするとどうなりますかと問うと「どう思われるだろうかとか、こわい」という。では閉眼し、その心の声を繰り返すとどのような身体感覚になりますかと問うと、「肩が張る、心臓ドキドキ、呼吸が苦しい」という。だから気持ちを言わないと安心感をもてるという行動感覚が形成される。つまり、ひとに自分の気持ちを伝えようとすると、肩が張る、心臓ドキドキ、呼吸が苦しいという、いわば徒競走まえ並みのノルアドレナリン量が分泌され、心臓が拍動し、骨格筋の緊張する人は、自分の気持ちを言うことはできないだろう。これは「恐怖の条件付け」がされているからである(宗像、2009)。 この緊張がもし毎日の日常ならたとえ無自覚でも、血流障害が生じ、肩の凝り、頭痛、冷え、不眠など交感神経緊張症をもつことになる。その不快感は、過食、飲酒、喫煙、セックスなどで代償する嗜癖行動をつくる。またその緊張症の度合いが強まったり、持続することは、大量のアドレナリンの受容体刺激で、白血球の中の顆粒球を異常に増多させ、顆粒球の放つ大量の活性酸素で消化器性潰瘍などをつくる。活性酸素の暴露が長期間持続することで動脈硬化がすすんで、脳血管系障害や心臓動脈性疾患などになったり、また遺伝子を損傷させ、悪性腫瘍が生じる(宗像、2006;宗像、小林、2007)。 換言すると、「見ない、聴かない、言わない、感じない、考えない、かかわらない、あるいは攻撃する」ことで生き残るためのサバイバル脚本とは、ストレス脚本であり、実は病気脚本である。その反対として、まわりの状況をよく見て、聴いて、感じて、考えて、表現し、かかわり、他と助け合い、自分を愉しむ愛情脚本としての自己イメージスクリプトである自己表現型、対人自立型、問題解決型、支援訴求度、自己集中型、自己肯定型などはリラックス脚本であり、健康脚本となる(宗像、2008年、2009年)。
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