聖書記述との一致
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/09 06:54 UTC 版)
イエスは顔を打たれた(マタイ26・67-68) 聖骸布の人物の顔には、多数の暴行の痕が確認できる。特に、右目の下と右頬の横に大きな腫れ、鼻に腫れがあり軟骨が折れていると思われる。 イエスは鞭打たれた(ヨハネ19・1) 聖骸布の像の人物の背中、胸、太ももなど身体中に多数の鞭打たれた跡がある。3本の皮ひもの先に2つの小さな金属球がついた「フラグム」という鞭で打たれたと考えられる。放射線状についた傷の跡から、二人の執行者によって鞭打たれ、鞭打ちの数は120回ほどである。 イエスは茨の冠をかぶせられた(ヨハネ19・3-5) 額と後頭部には茨が刺したと考えられる血痕が多数ある。額の真中の血は粘りのあるもので、額の横に流れる血は薄い。これは動脈血と静脈血の違いである。 イエスは重い十字架を運ばねばならなかった(ヨハネ19・17) 当時の磔刑ではふつう十字架の横木が犯罪人によって運ばれ、柱は刑場に固定されていた。横木の重さは100ポンド(約45キログラム)と推定される。 聖骸布の右肩の上に擦過傷部分があり、背面の左肩の下にも鞭による傷の上に加えられた広範囲な擦過傷が表れている。これらの傷は鞭の傷を通して見られ、傷つけられた皮膚を何か重いものでこすった摩擦によって生じたものであると考えられる。擦過傷が破れておらず、このことから聖骸布の人物は服を着ていたと思われる。聖骸布の人物の両膝には強度の損傷が有る。左ひざの皿の部分にかぎ裂き状の擦過傷とともに大きな打撲傷があり、右ひざにも小さな打撲傷が有る。顔にも打撲傷があり、鼻の軟骨が折れている。1978年の科学調査の時、足や膝、鼻のあたりにエルサレムのアラゴナイトという土が付着していたことが分かった。 イエスは十字架につけられた(ルカ23・33) 「イエスは両手・両膝に釘を打たれて磔にされた」(ヨハネ20・25) パリのソルボンヌ大学のピエール・バルベによると、聖骸布で示される位置に釘を刺すと正中神経や感覚神経が損なわれ、運動神経の損傷により指が曲がらなくなる。聖骸布の状態を確認すると親指の跡が写っていなかったという。また、イエスの磔の絵はほとんどの場合手のひらに釘が打たれて描かれているが、聖骸布の人物には手首・足に釘で貫かれた痕がある。これらのことは聖骸布の陰影は誰かによって人為的に描かれたのではなく、実際にローマ人のやり方で磔刑にされた人物であるという強い医学的証拠である。 イエスの脚は折られなかった(ヨハネ19・31-33) 「律法」によって死者は日没までに埋葬しなければならなかったため、ユダヤ人の受刑者は日没少し前までに死亡しない場合、脚を折って死を早められた。聖骸布の人物の脚が折られていないことは明瞭である。 イエスは胸を刺された(ヨハネ19・34-36) その死を確かめるために胸の右側を槍で突かれているため、右側に4×1.5cmの傷がある。ここから流れる血による陰影には、色の濃い部分と薄い部分とがあり、血液と透明な液体とが混ざっていたと考えられている。いわゆる「血と水」である。聖骸布の人物には鞭打ちや暴行による打撲傷の跡がある。そのため肋膜炎が起こり、その中に水(血清)が溜まり内出血を起こしたとも考えられる。また、心身の苦しみのために心臓が破裂し、刺されたときに水(血清)と血(血餅)が流れ出たとも考えられる。 イエスは亜麻布に包まれた(ルカ23・52) 聖骸布の人物は上等な亜麻布に包まれ、名誉ある葬りを受けている。 イエスは数日だけしか墓にいなかった(ルカ24・1-13) この布には腐敗の跡がない。聖骸布の人物は腐敗する前に布から離れたと考えられる。
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