絶筆とカラスの俗説とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 絶筆とカラスの俗説の意味・解説 

絶筆とカラスの俗説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/01 16:45 UTC 版)

カラスのいる麦畑」の記事における「絶筆とカラスの俗説」の解説

本作は、しばしばファン・ゴッホ絶筆であると見なされることが多い。 しかし、1890年7月10日頃の弟テオの手紙に本作思われる作品に関する記述があることから、実際に7月上旬描かれたと推定されている(後述#同時期の作品参照)。また、1890年7月14日オーヴェル町役場』や『ドービニーの庭』『木の根と幹』など、タイトル手紙の内容等から7月中旬以降描かれと見られる作品存在することからも、本作最後作品である可能性は低い。 ファン・ゴッホ遺族が公式に認めたタイトルは『黒いのいる麦畑』であり、画面の「黒い」がカラスカラス属)であるという明示はなく、さらに厳密に言えば暗色絵具描かれたちの実際体色が黒だったのかどうか不明である。絶筆であるとの記述最初に出始めたのは1908年、ドイツ・ミュンヘンのモデルネ・クンストハンドブルク画廊などを巡回したファン・ゴッホ展のカタログで、当時は「雷雨」のタイトル付けられ、「巨匠最後作品」と付記されていた。1914年ベルギーアントウェルペン開かれた現代美術展のカタログでは、「(からす)の群れ飛ぶ麦畑」の題が付けられ同様に画家最後作品」と説明された。 以後根拠の無いまま黒いカラスであり、ファン・ゴッホ絶筆であるとする見解広まっていった。 1956年の映画炎の人ゴッホ』のラストシーンでは、カーク・ダグラス演じファン・ゴッホカラスのいる麦畑本作描き上げその場拳銃自殺遂げるが、実際に彼が自殺間際まで絵を描いていた、また自殺図った現場麦畑であったという確証はない。しかし、この映画世界中で大ヒットしたため、「ファン・ゴッホが死の寸前描いていた作品」というイメージがさらに浸透した。 「麦刈り」は聖書においてしばしば人の死の象徴として語られており、ファン・ゴッホ自身も死のイメージとして好んで[要出典]麦畑主題描いている。画中の黒いカラスだったとすれば不吉な死」を表した絵という解釈成立することになり、非業の死遂げた芸術家イメージ相応し主題となる。また後年出版され複数ファン・ゴッホ伝記中では画家生涯殉教聖人伝当て嵌める記述がしばしば見られる上記理由から本作をめぐる一連の伝説俗説)が生まれたものと推測される現代においてもこの絵は展覧会画集最後に置かれ、「厳密に絶筆ではないが」と断った上で画家制作活動締めくくるものとして相応しい」などと結ばれることもある。しかし一方で固定化された解釈からの解放目指した脱神話化動きもある。1990年BBC製作したテレビドラマファン・ゴッホ』では、ゴッホカラスのいる麦畑では死なない同年ロバート・アルトマン監督映画ゴッホ』でもこの絵を絶筆扱いにはしていないが、死の床場面で部屋の隅にこの絵が置いてあるという演出なされた

※この「絶筆とカラスの俗説」の解説は、「カラスのいる麦畑」の解説の一部です。
「絶筆とカラスの俗説」を含む「カラスのいる麦畑」の記事については、「カラスのいる麦畑」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「絶筆とカラスの俗説」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「絶筆とカラスの俗説」の関連用語

絶筆とカラスの俗説のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



絶筆とカラスの俗説のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのカラスのいる麦畑 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS