第1楽章 Adagio - Allegro molto
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「交響曲第9番 (ドヴォルザーク)」の記事における「第1楽章 Adagio - Allegro molto」の解説
第1楽章:Adagio – Allegro molto Musopenより この音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。 アダージョ―アレグロ・モルト。ホ短調、序奏付きソナタ形式(提示部の反復指定あり)。序奏は弦の旋律によって始まる。クラリネットやホルンの信号的な動機に続き、木管楽器に冒頭の旋律が戻ってくると、突如として荒々しく低弦とティンパニ、クラリネットが咆哮する。盛り上がった後一旦静まり、アレグロ・モルトの主部に入る。第1主題は10度にわたるホ短調の分散和音を駆け上がる動機と、これに木管楽器が応える動機からなっている。第1主題前半の動機はその後の楽章にも度々現れ、全曲の統一感を出す役割を果たしている。弦が一気に盛り上げ、トランペットのファンファーレと共にこの主題が確保される。次いでフルートとオーボエによるト短調の第2主題が提示される。これは半音の導音を伴わない全音での自然的短音階であり、黒人霊歌を思わせる旋律となっている。続いてフルートにト長調で歌謡的な小結尾主題が出る(こちらを展開部や後の楽章での再現、調性等の観点から、第2主題と捉える解釈もある)。これは黒人霊歌『静かに揺れよ、幌馬車(Swing low Sweet Chariot)』に似ている、という指摘もあるが、これに対しては、アメリカ民謡借用説の例にひかれ、全体もそのように書かれているような印象が広まってしまったものであり、そのように解釈するのは不適切であるという見解もある。また、この主題は提示部と再現部で一か所だけ付点音符の有無によるリズムの違いがあり、指揮者の解釈によって処理が異なる場合がある。この主題が弦に受け継がれて高潮し、提示部が終わる。提示部は反復指定があるが、ドヴォルザークの他の交響曲同様、繰り返されないことも多々ある。展開部では第1主題と小結尾主題の2つの主題が巧みに処理される。再現部では第1主題が途中で遮られ、その後の主題は半音上がった調で再現される。調の変化で主題をより劇的にする巧みな主題操作が見て取れる。小結尾の主題に第1主題が戦闘的に加わるとコーダに入る。幾分不協和なクライマックスを迎えた後、トランペットのファンファーレに続き、短調のまま強烈なトゥッティで楽章を閉じる。 演奏時間は10 - 13分程度、提示部の繰り返しを省くと8 - 10分程度。
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