第二次大戦期における高射砲による対戦車戦闘
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「対戦車砲」の記事における「第二次大戦期における高射砲による対戦車戦闘」の解説
第二次大戦初期、一部の戦車の装甲防御力に対し既存の対戦車砲(その当時で37mm級、50mm級)が威力不足であったため、野戦高射砲で対抗することがあった。高射砲は大口径(75~105mm級)、高初速、発射速度大など、スペック上は対戦車任務に適しているようだが、対戦車用の徹甲弾や直接照準器、また、水平射撃時の砲架や駐退機の強度などが考慮されていなければならず、最初から地上目標を想定した両用砲でなければ有効に使用できない。前線での咄嗟の思いつきで使っても有効に使用することはできず、対戦車戦に戦果を挙げた高射砲は、あらかじめ対戦車戦闘を想定して設計されていたものである。 ドイツ陸軍の8.8 cm FlaK 18/36/37やソ連赤軍の52-K 85mm高射砲はあらかじめ対戦車戦闘を考慮して設計されており、当初から徹甲弾も支給されていたため実際に戦場でも対戦車戦闘が行えた。しかしながらその汎用性の高さからくる耐久性を上げるため、野戦高射砲としては重量は大変重くなり、また対戦車砲としては射撃姿勢が高く目立ち対戦車運用には必ずしも適当ではなかった。 大日本帝国陸軍の八八式七糎野戦高射砲は野戦高射砲として大変軽量かつ小型に仕上がり、比較的短時間の防空戦闘という運用には適していた。しかし開発時点では直接照準による対地攻撃を行う事を考慮しておらず、軽量ゆえに耐久性が低いため、無理な平射時にはしばしば駐退機の故障・破損を起こした。本砲では駐退機構造自体が、射角が高じるにつれ後座長が短くなるなど複雑でデリケートな構造であった。本砲は仰角15度以下の平射は想定しておらず、使用するには爆風よけの防盾と砲口制退器の装備が必要だった。1934年6月に海岸砲として配備された物には平射照準具が装備され、俯角は7度まで可能であった。 イギリス陸軍のQF 3.7インチ高射砲も対戦車戦闘は考慮されておらず、アメリカ陸軍のM1 90mm高射砲も有効な対戦車戦闘ができなかった。
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