福島第一原発事故との関係
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「原子力安全委員会」の記事における「福島第一原発事故との関係」の解説
原子力安全委員会 1990年(平成2年)8月30日決定、2001年(平成13年)3月29日一部改訂の「発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針」では、「指針24. 残留熱を除去する系統」の第2項「残留熱を除去する系統は、その系統を構成する機器の単一故障の仮定に加え、外部電源が利用できない場合においても、その系統の安全機能が達成できるように、多重性又は多様性及び独立性を適切に備え、かつ、試験可能性を備えた設計であること。」とあり、「指針25. 非常用炉心冷却系」の第2項「非常用炉心冷却系は、その系統を構成する機器の単一故障の仮定に加え、外部電源が利用できない場合においても、その系統の安全機能が達成できるように、多重性又は多様性及び独立性を備えた設計であること。」とあり、「指針48. 電気系統」の第3項「非常用所内電源系は、多重性又は多様性及び独立性を有し(以下略)」と定められており、そ用語定義で「独立性」とは、二つ以上の系統又は機器が設計上考慮する環境条件及び運転状態において、共通要因又は従属要因によって、同時にその機能が阻害されないことをいう。」と定義している。 しかし、福島第1原発のみならず被災原発全体で、「津波という共通要因」「その従属要因たる直流電源喪失(非常電池水没)」「その従属要因たる格納容器ベント困難」で複数の非常用所内電源系、残留熱除去系、緊急炉心冷却系が機能喪失に至った。 また、「指針27. 電源喪失に対する設計上の考慮」で、長期間にわたる全交流動力電源喪失は、送電線の復旧又は非常用交流電源設備の修復が期待できるので考慮する必要はない。とあるが、送電線の復旧、非常用交流電源の復旧どころか、電源車による制御・動弁系の完全復旧さえも、非常炉心冷却系の停止前には実現できなかった。 本件について、上記指針に基づく詳細な仕様を政令で定めるのは、原子力安全保安院と、文部科学省・原子力安全課の職掌であった、保安院は、原子力発電所設置許可申請審査も管掌していた。一方、安全委員会は、設置許可申請の安全審査の二次審査、規制調査を通じた規制官庁への監督を管掌していた。
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