神経心理学的検査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 09:13 UTC 版)
知能検査をはじめとする神経心理学的検査が診断および重症度評価などに用いられる。記憶検査としてはウェクスラー記憶検査法(WMS-R)や日本語版リバーミード行動記憶(RBMT)が標準とされているが認知症診療では実際的ではないため、ここでは認知症で用いられる検査を中心に概説する。認知症の評価、スクリーニングでは記憶など中核症状、BPSD、ADLの3つの症候を扱う。それぞれ質問式の認知機能検査を用いたり観察式の行動評価尺度を用いたりする。それぞれの検査の特徴を以下にまとめる。 質問式観察式最低限の情報で実施可能 十分に把握している家族、介護スタッフが必要 本人のみであっても実施可能 家族などからの情報のみで評価可能 本人が協力的でなければ実施不可能 本人が拒否的であっても評価可能 著しい視聴覚障害があると実施不可能 視聴覚障害の影響をほとんど受けない 施行者によるばらつきは少ない 結果のばらつきを減らすにはマニュアルによる訓練が必要 居宅、入院、入所を問わない 評価項目によっては入院、入所では評価できない 認知機能障害は評価できるがBPSDは評価できない 認知機能障害もBPSDも評価できる
※この「神経心理学的検査」の解説は、「認知症」の解説の一部です。
「神経心理学的検査」を含む「認知症」の記事については、「認知症」の概要を参照ください。
神経心理学的検査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/10 15:14 UTC 版)
「レビー小体型認知症」の記事における「神経心理学的検査」の解説
DLBでは記憶障害がアルツハイマー型認知症に比較して目立たない一方で注意障害、視空間機能障害、構成障害がアルツハイマー型認知症より目立ち、より多くの介助が必要となる。 SDI-DLB the Subjective Difficulty Inventory in the daily living of people with DLB == SDI-DLB は20項目からなる質問で検査をする。Cut-off値 15/16点で感度 0.88, 特異度 0.79, AUC=0.86 とDLBの診断に有用と考えられている。 HDS-R、MMSE 長谷川式認知症スケールやMMSEの他により簡便な検査としてRDST-Jなども開発されている。RDST-Jはスーパーマーケット課題と数字変換課題で構成されている。 MMSEでは(注意と計算)- 5/3×(遅延再生) + 5×(構成) < 5 であれば DLB が疑われる。(感度 82%, 特異度 81%) COGNISTAT COGNISTAT(コグニスタット)は記憶課題の難易度がHDS-RやMMSEよりも高いほか、言語や構成、計算などに関する課題も設けられており各得点をプロフィールで示すことができる ADAS ADASはADに対する認知機能検査として世界的に用いられている。記憶課題の難易度も比較的高くCOGNISTATと同様に初期の認知症で有効な検査である。日本語版はADAS-Jである。 WMS-R ウェクスラー記憶検査(WMS-R)は記憶検査の中で最も詳細で難易度も最も高い。WMS-Rは記憶を言語性記憶と視覚性記憶に分けて検討するため、DLBは言語性記憶に比べて視覚性記憶がより低得点になりやすい傾向がある。そのためCOGNISTATやADASよりも負担が大きいものの、MCIにおける軽度の記憶障害でもより的確に評価することができる。 FAB 実行機能検査としてFABの他に、TMT(Trail Making Test)やStroop Testなどが用いられることが多い。 時計描画試験 時計描画試験ではADでは見本をみながら書けば書けるがDLBでは見本をみても書けないことが多い。 ベンダーゲシュタルトテスト ベンダーゲシュタルトテスト(BGT)を用いるとDLBはADや健常者よりも有意に不良な点数となる。 MoCA(Montreal Cognitive Assessment) MoCAはMCIをスクリーニングする検査である。視空間・遂行機能、命名、記憶、注意力、復唱、語想起、抽象概念、遅延再生、見当識からなる検査である。日本語版はMoCA-Jという。レビー小体型認知症の検出にも有効と言われている。
※この「神経心理学的検査」の解説は、「レビー小体型認知症」の解説の一部です。
「神経心理学的検査」を含む「レビー小体型認知症」の記事については、「レビー小体型認知症」の概要を参照ください。
- 神経心理学的検査のページへのリンク