疾病による
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/15 02:59 UTC 版)
第68条(病者の就業禁止) 事業者は、伝染性の疾病その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものにかかつた労働者については、厚生労働省令で定めるところにより、その就業を禁止しなければならない。 1947年(昭和22年)施行の労働基準法第51条に規定され、1972年(昭和47年)の労働安全衛生法施行時に同法に移された。病者を就業させることにより、本人ならびに他の労働者に及ぼす悪影響を考慮して規定されたものであるが、その運用に際しては、まず、その労働者の疾病の種類、程度、これについての産業医等の意見等を勘案して、できるだけ配置転換、作業時間の短縮その他必要な措置を講ずることにより就業の機会を失なわせないよう指導することとし、やむを得ない場合に限り禁止をする趣旨であり、種々の条件を十分に考慮して慎重に判断すべきものであること(昭和47年9月18日基発601号の1)。なお、平成12年の改正法施行により、就業禁止の対象から「自傷他害のおそれのある者」が削除された。「厚生労働省令で定めるもの」とは以下のとおりである(規則第61条1項)。 病毒伝播のおそれのある伝染性の疾病にかかった者(伝染予防の措置をした場合を除く)「病毒伝播のおそれのある伝染性の疾病」とは、伝染させるおそれが著しいと認められる結核にかかっている者があることとされ、「伝染予防の措置」とは、ツベルクリン皮内反応陽性者のみに接する業務に就かせることをいう(平成12年3月30日基発第207号)。 心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれのあるものにかかった者 前各号に準ずる疾病で厚生労働大臣が定めるものにかかった者感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第18条、同施行規則第11条により、1類感染症の患者及び2類感染症、3類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の患者について、感染症の種類に応じて、多数の者に接触する業務や飲食物に直接接触する業務への就業が制限される。 事業者は、この規定により、就業を禁止しようとするときは、あらかじめ、産業医その他専門の医師の意見をきかなければならない(規則第61条2項)。就業上の措置に関する医学的な判断は、医師のみが行える業務であり、職場の状況を把握した産業医が行うことが期待されていることから、事業場においては、「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」(平成28年2月23日基発0223第5号)等を踏まえて、少なくとも、疾病のある労働者を就労させることにより当該疾病を増悪させないよう、主治医が作成した病状や就業継続の可否等に関する書面等が提出された場合には、産業医が主治医等と連携して就業上の措置等に関する意見を述べ、当該意見等を勘案して、事業者は、必要に応じて、適切な就業上の措置等を行うことが必要である。 病者の就業禁止は、一般的な病者の就業禁止と、特定の業務への就業禁止とに大別され、第68条は主に前者について定める。後者について定めた規定(鉛中毒予防規則第57条、四アルキル鉛中毒予防規則第26条、高気圧作業安全衛生規則第41条)の本質は「就業禁止」というよりは当該特定の業務からの「作業転換」である。
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