産駒の精神面
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 04:48 UTC 版)
サンデーサイレンスの産駒は気性が激しい馬が多いことで知られた。競走馬エージェントの柴田英次は、産駒は激しい気性から生まれる「狂気をはらむほど激しい闘争心」ゆえに、痛みに対して従順でなく、「肉体の限界を超えるほどのチカラを発揮できた」と分析し、「種牡馬として成功した要因として、激しい気性があったのは間違いない」と述べている。吉沢譲治はサンデーサイレンスが日本で種牡馬として成功した秘密はイージーゴアに噛みつこうとしたプリークネスステークスに凝縮されているとし、「第一に『気性の激しさ』、第二に『(血統背景からくる)雑草的な逞しさ』にあり、それが種牡馬として優秀な産駒を送り出す強力なエネルギー源となったと考えている」と述べている。 サンデーサイレンス産駒に騎乗し多くの勝利を挙げた武豊は、「サンデー産駒は口向きの悪いほうが走るような気がするんです」、「そうした性格的な部分まで受け継いだ仔のほうが、競走能力もストレートに受け継いでいるような気がします」とし、「騎乗したときに産駒が気性の悪さを見せるとかえって頼もしさを感じた」という。武はサンデーサイレンス産駒で気性が荒い産駒は父に似た黒っぽい毛色(青鹿毛か黒鹿毛)の馬に多いという私見を述べ、そのような産駒を見ると「強そうに見える」、または「『走りそうやな』と思った」といい、一方で自身が全レースに騎乗した栃栗毛のマーベラスサンデーは大人しかったと振り返っている。武によるとレースでは序盤はのらりくらりと走り、後半になってから本気を出すタイプの馬が多かったといい、一方で「気持ちが付いてこなくなったサンデー産駒は、極端に言えばラストの200mだけの競馬をさせてみると、ガラッと変わることがあるんです」とも語り、こうした騎乗が成功した例としてスペシャルウィークで制した1999年の天皇賞(秋)を挙げている。乗りやすさについては、「素直で乗りやすいタイプの馬が多かった」というノーザンテースト・トニービンの産駒と比べてサンデーサイレンス産駒は「我が強くて乗りにくい」というものの、「でも、ボクとしてはその乗りにくさが好きだし、得意な気がします。誰よりもサンデーサイレンスをしているし、スランプに陥った馬を立て直す術も知っているつもりなんです」と語っている。 オリビエ・ペリエは、日本で騎乗した産駒には「神経質でピリピリしてるようなタイプが多かった」と指摘した上で、そのことが実戦ではプラスに作用し、反応の鋭さに繋がっていたと推測している。吉沢譲治によるとサンデーサイレンス産駒の一流馬を育てたある調教師は「勝ち気でカリカリした激しい気性の馬ほど、三歳の早くに楽に仕上がってくれます。そういう気性じゃないと三歳の早くに仕上げるのは無理なんです。牛のようにのったりした馬は、三歳の早くには仕上がらない。調教師にとって、サンデーサイレンスのような血統ほど仕上げるのに楽な血統もなく、新馬戦でどんどん勝つのはそのためです」と言ったという。岡部幸雄は、サンデーサイレンス産駒の良さは気性の荒さにあるが、気性の荒さを表に出し過ぎるタイプの競走馬は距離適性が短く、「うまく内面に押し込めんでレースに爆発させることができる」タイプの競走馬は距離の融通がきくと述べている。 社台ファーム繁殖主任の水越治三郎は、「やんちゃな気性の割に物覚えがよい」と述べている。馬産地においては「気性は激しいが、育成場に行って物覚えが一番早いのもサンデー産駒」という評判があり、賢さを併せ持った産駒が多かった。獣医師の松永和則は、「サンデーサイレンス産駒の気性はただ単に激しいのではなく、強い精神力を伴ったものである」と述べている。
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