理論的モデル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/29 05:42 UTC 版)
捕食-被食関係を数学的モデルにしたものにロトカ=ヴォルテラの方程式がある。これは、次のような形の微分方程式で示される。 ここで、種1が被食者、2が捕食者である。被食者の個体数の成長率(dN1/dt)は、固有の成長率r1による増加分から食われた数を引いたものである。食われた数は捕獲率Pと両者の個体数で決まる。 d N 1 d t = r 1 ⋅ N 1 − P ⋅ N 1 ⋅ N 2 {\displaystyle {\frac {dN_{1}}{dt}}=r_{1}\cdot N_{1}-P\cdot N_{1}\cdot N_{2}} 他方で、捕食者の個体数N2は、捕らえ得た獲物の量によってその増加が決まり、固有の死亡率によって減少する。 d N 2 d t = a ⋅ P ⋅ N 1 ⋅ N 2 − d 2 ⋅ N 2 {\displaystyle {\frac {dN_{2}}{dt}}=a\cdot P\cdot N_{1}\cdot N_{2}-d_{2}\cdot N_{2}} ただし、aは確保できた餌による増加の効率、d2は種2の固有死亡率である。 この式から期待される捕食者と被食者の個体数の挙動は以下のような三つのパターンになる。 捕食者が被食者を食い尽くして全滅する。 捕食者が被食者を食えずに全滅する。 捕食者と被食者の数が振動する。 最後の場合は、捕食者が被食者を食い、被食者が減ると、捕食者は餌がなくて死ぬ。捕食者が減れば被食者が増える。被食者が増えれば次第に捕食者も増える。捕食者が増えれば…を繰り返すものである。自然界ではおおかたの生物は一応は恒常的に平衡がとれているものと考えられている以上、第一、第二のシナリオはあり得ない。それに、第三のシナリオはいかにも魅力的である。
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理論的モデル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/22 03:57 UTC 版)
活動銀河の標準的な理論的モデルは、銀河中心にある106-9太陽質量の大質量ブラックホールに向かって物質が落ち込むことによってエネルギーが放出される、というものである。物質がブラックホールに落下する時、物質はブラックホールの周囲を公転する角運動量を持つために、ブラックホールの近傍で降着円盤と呼ばれる扁平な円盤を形作る。降着円盤内のガスの摩擦熱によって、落下するガスは電離してプラズマとなる。このため、電離したガスが回転することで強力な磁場が作られる。降着円盤からはジェットの放出がしばしば観測されるが、宇宙ジェットの形成のメカニズムはあまりよく分かっていない。この降着円盤は、質量を非常に効率よくエネルギーに変換する「エンジン」であり、物質が持つ全質量の約50%をエネルギーに変換できる。これは核融合が数%であるのに比べて非常に効率的である。 このような活動が起こせるのは、活動銀河核の周囲に十分な量の物質があるためである。したがって、ブラックホールが周囲のガスや塵を全て「食べ尽くす」と、活動銀河核は膨大なエネルギー放出をやめて通常の銀河になると考えられている。この仮説は、我々の銀河系や他の近傍銀河の中心に「平穏な」大質量ブラックホールが見つかっていることからも妥当な説であると思われるが、近年あすかのX線による観測で、全天で観測される銀河の1/3にもおよぶ低電離輝線銀河の低電離中心核輝線領域(ライナー核と呼ばれる)の一部も、暗いながらもブラックホールに起因する活動銀河核であることがわかった。これは周囲の物質を「食べ尽くし」てしまった結果と考えると活動銀河核が暗いことがうまく説明できる。 さらに、現在観測される近傍の活動銀河の詳細の解明により、遠方のクエーサーについても同様の構造による同種の活動銀河であるとの認識がされるようになった。なぜクエーサーが初期宇宙にのみたくさん存在するのかについても、初期宇宙の方が現在よりもたくさんの「燃料」があったため銀河の活動性が高かった、と考えればうまく説明がつく。
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