理性的自己(Intellectual Self)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/02/19 05:57 UTC 版)
「内的自己救済者」の記事における「理性的自己(Intellectual Self)」の解説
アリソンは「人間の心は二つの主要な部分から成り立っている」と二元論でとらえている。西洋の哲学は歴史的に人間の構成要素として「肉体、心、そして魂」を論じてきたがここでは「心」と「魂」である。この2つを様々な言葉で言い表しているが、2005年の論文では「心」に対して「Personality」という言葉を、「魂」に対しては「Essence」という言葉を当てはめている。 そしてEssenceは、ユングのフィレモンか、トランスパーソナル心理学のアサジョーリの「トランスパーソナルセルフ」と同じ実体であり、我々はみなひとつ持っているとする。アリソンは1980年の著書の中でも「心の<意識>と<無意識>については、精神科医の数だけ"定義”がある。私はどちらかというとイタリアの精神科医ロベルト・アサジョーリ博士の説に賛成だ」と述べ、アサジョーリと同様に無意識を3階層に分け、その最上位を「愛や感謝、誠実の源でもあり、<ISH>により作られる全ての交代人格はこの場所から出てくる」と述べている。アサジョーリの「トランスパーソナルセルフ」もその最上階の突端に位置し、神、宇宙に通じるものとされる。アリソンは2003年の「シャーマニズムおよび代替治療の研究に関する第20回年次国際会議」での発表で、自分の「Essence」は紀元前のローマ軍の将校で名をMichael.といい、その埋葬地を訪れたときのことを述べている。これを読むと「Essence」とは日本の感覚ではうしろの百太郎のような守護霊と変わらない。なお守護霊という概念は日本原産ではなく「Guardian Spirit」の訳語である。 また「心」と「魂」を「Emotional Self」と「Intellectual Self」とも呼ぶ。そしてその2つは日本語の「感情」と「理性」に相当することをアリソンは自分のサイトで表明している。このため以下では「Emotional Self」を「感情的自己」、「Intellectual Self」を「理性的自己」と表す。ただし日本語の「理性」は、人が成熟していく過程で獲得される後天的な印象が強いが、アリソンのいうそれは産まれたときから、あるいは産まれる前から存在するものである。 アリソンは幼少期に心の傷を受けた子供は「感情的自己」と「理性的自己」が分かれてしまうとする。その「理性的自己(Intellectual Self=Essence)」が「内的自己救済者:Inner Self Helper」である。それは、MPD患者内部のSelf Helper 「自己救済者」ではなく「内なる自己(Inner Self)」「理性的自己」自身であり「真理・精霊につながるもの」である。アリソンの概念は1970年代から現在に至るまでに若干変わっているのだが、1978年の論文ではISH/Essenceと書き、1980年には次のように述べる。 「交代人格とISHははっきりと別の存在である。また、多重人格者だけでなく、誰にでもISHはある。」 「ISHは多重人格者だけでなく、誰にでも産まれたときから存在している。ただ多重人格者の場合はISHが別の人格であるかのように見えるだけである。」 そして、ISHは神の代理人であり精霊であるかもしれないとする。ただし後にアリソンは「誰にでもISHはある」という部分を軌道修正する。(後述「MPDとDID」)
※この「理性的自己(Intellectual Self)」の解説は、「内的自己救済者」の解説の一部です。
「理性的自己(Intellectual Self)」を含む「内的自己救済者」の記事については、「内的自己救済者」の概要を参照ください。
- 理性的自己のページへのリンク