想像人格(IIC)の消去
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/02/19 05:57 UTC 版)
「内的自己救済者」の記事における「想像人格(IIC)の消去」の解説
アリソンによれば、ISH または救済者人格は想像人格(IIC)は自分たちの一部ではないと言い、想像人格(IIC)を自分たち(交代人格と基本人格)が全く傷つくことなく取り除くことが可能だと言う。そしてアリソンが1980年当時に「憑依した悪霊」と思ったものは、実はその本人の強い陰性の感情が「感情的自己」を支配している時に生み出される想像人格(IIC)だったという。アリソンによれば、子供が想像人格(IIC)を造りだす理由は多様である。 孤独、傷つけられた感情、恐れ、いらだち。負の感情であれば何の制限もないとして次ぎの様に説明する。 「IICは実際に現実的に今自分を脅かしている脅威に対しての怒りと言うより、子供の頃親にしかられた、とか、贈り物が貰えなかったなどの不愉快な事象に凝り固まっていることが多い。 自分の生命に危機が及んでいるということはまず無い」。そしてアリソンの患者であったヘンリー・ホークスワークの著書『The Five of Me』の中から、ホークスワークの想像人格(IIC)であるジョニーがどのようにつくりだされたかを紹介する。 「それはヘンリーの1歳と2歳の誕生日の間のことであり、彼の父が赤ん坊のヘンリーが何か悪さをしたときに叱るのだが、そのそしりを一手に引き受けて非難されるべき対象としてジョニーは具現化された」。 この記述は『イブの3つの顔』の患者クリス・コスナー・サイズモアの 『私はイヴ―ある多重人格者の自伝』(p.17、p.109)に出てくる「見知らぬ赤毛の少女」の状況と非常に良く一致する。他の治療者にとっては交代人格(あるいは人格の断片)のひとつなのだがアリソンにとってはそうではない。なぜならば、彼のとってはMPDでもDIDでも交代人格は「理性的自己」(ISHと同義)によって基本人格の性格的材料を基に作成されるものであるからである。交代人格はMPDの場合はISHの管理下に於かれている。DIDの場合はISHは居ないが、交代人格は未成熟な「感情的自己」と密接なつながりを持っている。それ故、怒りの交代人格であっても、その怒りを除去した後では、患者の解離していた「感情的自己」と統合することが容易である。ところが想像人格(IIC)は基本人格の性格的材料を基に作成されてはいない。「感情的自己」の意志によって「感情的想像力」をもって作成されている。従ってこれは統合されるべき存在ではなく、消去すべきものとなる。
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