現代の幾何学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/20 00:51 UTC 版)
クラインは幾何学に群論を応用することによって、空間Sの変換群Gによって、変換で不変な性質を研究する幾何学を提唱した。これをエルランゲン・プログラムというが、この手法で運動群がユークリッド幾何学を定めるように、射影幾何学、アフィン幾何学、共形幾何学を統一化することができる。 更に19世紀末にはポアンカレによって、連続的な変化により不変な性質を研究する位相幾何学が開拓された。 代数曲線・曲面や代数多様体が起源である代数幾何学は高度に発達し、日本でもフィールズ賞受賞者も多く盛んに研究されている。 またミンコフスキーによる凸体の研究は「数の幾何学」(注:数論幾何学とは異なる)の道を開いた。 20世紀前半には多様体は数学的に厳密に定式化され、ワイル、E・カルタンらにより多様体上の幾何学や現代微分幾何学が盛んに研究された。リーによって導入されたリー群によって、これらの様々な幾何学を不変にする変換群が与えられたが、カルタンはリー群を応用して接続の概念を導入し接続幾何学を完成させ、これらの幾何学を統一化することに成功した。これはリーマンによる多様体と、クラインによる変換群の考えを統一化したとも理解できる。これは現代では素粒子物理学などの物理学の諸分野でも常識となっている。 また、代数学や解析学の発展もともなって、多様体の代数構造と位相構造との関係を研究する大域微分幾何学、複素解析と関係する複素多様体論、古典力学の力学系と関連したシンプレクティック幾何学や接続幾何学、測度論と関連して積分幾何学や測度の幾何学的研究である幾何学的測度論の研究などもこのころにはじまった。 20世紀後半になると多様体上の微分可能構造や力学系、微分作用素なども上記の幾何学とも関係しながら研究が進められた。他にも幾何構造をなすモジュライ空間や特異点を含む空間の研究、物理学と関連した研究や四色問題に見られるようにコンピューターを用いた研究も行われた。 凸体の幾何学や組み合わせ幾何学の手法は現代ではオペレーションズ・リサーチなどの応用数理の分野でも用いられている。
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