現代のリアエンジン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/04 04:23 UTC 版)
タタ・ナノ ナノの後部床下エンジンルーム リアエンジン車の代表ともいえるフォルクスワーゲン・タイプ1が、前輪駆動車ゴルフ(1974年)発売に伴い、1978年にドイツ本国での生産を終了したのは、リアエンジン乗用車の時代の終焉を象徴する「事件」であったといえよう。 その他のヨーロッパや日本の主要メーカーも、旧式なリアエンジン車を延命するように生産していた事例が少数見られたが、いずれも1980年代前半までには生産を終えている。 21世紀初頭、小型から中型のリアエンジン車の系譜を維持し続けているメーカーは、スポーツカーメーカーで「リアエンジンであること」が911のアイデンティティにまでなっているポルシェと、モノスペースを追求した超小型車カテゴリーに属するスマート、タタ・ナノ程度に留まっていた。 かつてスバル・360に代表されるリアエンジン軽自動車を多く生産したスバル(富士重工業)が2012年まで生産していたリアエンジン車は、軽トラックとワンボックスの「サンバー」であったが、スバルはすべての軽自動車をダイハツ工業からのOEMに切り替え、軽自動車の生産から撤退した。 一方、中型以上のバスでは、トラックとコンポーネンツ多数を共用したモデルや、超低床型の特殊車における一部事例を除けば、床面積を最も有効に活用できる手法として世界的にリアエンジン方式が現在に至るまで標準レイアウトとなっている。 2014年にはダイムラーとルノーの提携により、スマート・フォーフォー(2代目)とルノー・トゥインゴ(3代目)がシャシを共用したRRレイアウトのコンパクトカーとして発売された。これにはエンジンのダウンサイジング技術の発展が大きく関与しており、エンジンを小型・軽量化することで前後重量配分をMRと同等にしている。居住性についても、FFであった前モデルに比べ車体サイズをそのままに室内前後長を大幅に向上させることが可能になった。これは、これまでフロントエンジンが取っていたスペースを室内前後長として加えることができたためである。 電気自動車においてはパワートレインによる重量の偏りから解放され、ホイールインモーターを含めてモーター搭載位置の自由度も高く、後輪駆動も選択肢と成り得ており、2020年に発売されたホンダ・eもRRレイアウトを採用している。
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