特別操縦見習士官
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特別操縦見習士官(とくべつそうじゅうみならいしかん)とは、高等教育機関を卒業後または在学中に日本陸軍航空の予備役将校操縦者となることを志願し、選抜されて養成教育をうける者である。場合により特操と略され、一部の報道では学鷲とも呼ばれた。太平洋戦争中の1943年(昭和18年)7月に戦時下の特例として制度が定められ同年10月に第1期の教育を開始し、戦争終結までに通算で4期の採用があった。
注釈
- ^ 採用年齢の下限も1年引き下げられた。
- ^ 勅令原文ママ。銓衡(せんこう)とは採用などに際し、人物・才能などをつまびらかに調べ考えること。『広辞苑』第三版
- ^ 禁錮以上の刑に処せられた者、または破産の宣告を受け復権を得ていない者には資格がない(同勅令第2条)。
- ^ 改正は「陸軍航空関係予備役兵科将校補充及服役臨時特例中改正ノ件」(昭和18年勅令第936号)による。
- ^ 特操に採用された時点で飛行機操縦士または滑空機乗員の免状を持つ者、あるいは飛行機操縦検定に合格している者の修業期間はさらに短く、入営日から1年であった。
- ^ 陸軍では航空機操縦者養成の制度として、ほかに操縦候補生、特別幹部候補生、逓信省航空機乗員養成所の出身者を下士官とするものなどがあった。
- ^ 特操制度を定めた勅令では「特別操縦見習士官ハ仙台陸軍飛行学校又ハ陸軍大臣ノ定ムル部隊ニ於テ航空関係ノ兵科将校タルニ必要ナル教育ヲ受ケシム」(第5条)とされている。仙台陸軍飛行学校は主として特操と同じく予備役将校操縦者となる甲種幹部候補生教育の学校であることから特に指定されていたが、実際には大量の人員を教育するために各地の陸軍飛行学校と教育隊に分散された。『陸軍航空の軍備と運用<3>』210-211頁
- ^ 特操第3期、第4期のうち約420名は1944年9月輸送船で門司を出航し、同年12月末にシンガポールに到着。翌1945年1月から第55航空師団隷下の飛行隊で、ジャワ島とマレー半島に分かれ高等練習機による飛行訓練を受けた。『茨木機関潜行記』9頁『諜報部員脱出せよ』36頁
- ^ 特操は予備役将校の養成制度であるため書類上は少尉任官と同時に予備役編入、臨時召集という手続きがされ、そのまま従来の勤務を続ける。
- ^ 昭和18年勅令第566号の第8条、第9条による。幹部候補生となっても少尉任官の時期は特操と同時とされた。
- ^ 陸軍中将富永恭次の長男。
出典
- ^ 『陸軍航空の軍備と運用<3>』200頁
- ^ 『陸軍航空の軍備と運用<3>』200-201頁
- ^ a b c 『陸軍軍戦備』383頁
- ^ 『陸軍航空士官学校』200頁
- ^ 『陸軍航空の軍備と運用<3>』201,207-208頁
- ^ a b c d e f g 『陸軍航空の軍備と運用<3>』209頁
- ^ a b c d e f g h i j 「御署名原本・昭和十八年・勅令第五六六号・陸軍航空関係予備役兵科将校補充及服役臨時特例」 アジア歴史資料センター Ref.A03022845900
- ^ a b c 『陸軍航空の軍備と運用<3>』210頁
- ^ 「陸軍航空関係予備役兵科将校補充及服役臨時特例ヲ定ム」 アジア歴史資料センター Ref.A03010103600
- ^ 「週報 第352号」 アジア歴史資料センター Ref.A06031051400
- ^ 『若鷲となるまで』127頁
- ^ a b c 告示 陸軍省告示第31号『官報』第4942号、1943年7月5日
- ^ a b c 『陸軍航空の軍備と運用<3>』212頁
- ^ a b c d e f g h i j k 「1943年夏の大量動員」
- ^ a b 『陸軍航空の軍備と運用<3>』211頁
- ^ 『陸軍軍戦備』383-384頁
- ^ a b c d 告示 陸軍省告示第9号『官報』第5147号、1944年3月13日
- ^ 「御署名原本・昭和十八年・勅令第九三六号・陸軍航空関係予備役兵科将校補充及服役臨時特例中改正ノ件」 アジア歴史資料センター Ref.A03022882900
- ^ 「陸軍異動通報 1/4 昭20年(防衛省防衛研究所)」 アジア歴史資料センター Ref.C12120933200
- ^ a b c 『茨木機関潜行記』9頁
- ^ 『諜報部員脱出せよ』81-82頁
- ^ 「大陸命 巻21 (第1351~1392号) 昭和20.06~08月(防衛省防衛研究所)」 アジア歴史資料センター Ref.C14060924300
- ^ 「御署名原本・昭和二十一年・勅令第三一九号・陸軍武官官等表等を廃止する勅令」 アジア歴史資料センター Ref.A04017827200
- ^ 『学生と兵役』120-124頁
- ^ 「御署名原本・昭和二年・勅令第三三一号・陸軍補充令中改正」 アジア歴史資料センター Ref.A03021670300
- ^ 『学生と兵役』134-149頁
- ^ 「写真週報 327号」 アジア歴史資料センター Ref.A06031092200
- ^ 『写真報道 学鷲ー陸軍特別操縦見習士官ー』『写真報道 学鷲ー海軍予備学生ー』
- ^ 「御署名原本・昭和十八年・勅令第七五五号・在学徴集延期臨時特例」 アジア歴史資料センター Ref.A03022864800
- ^ a b 『茨木機関潜行記』8頁
- ^ 「陸軍少尉横野朝明外一名叙勲の件」 アジア歴史資料センター Ref.A10113484000
- ^ 「陸軍少尉岡井栄一外四名叙勲の件」 アジア歴史資料センター Ref.A10113481700
- ^ 「陸軍少尉高梨俊雄叙勲の件」 アジア歴史資料センター Ref.A10113482700
- ^ 「陸軍少尉服部琴之叙勲の件」 アジア歴史資料センター Ref.A10113488900
- ^ a b 私の履歴書 飛行学校 家出に父も折れる
- ^ 「陸密綴 昭和18年~19年(防衛省防衛研究所)」 アジア歴史資料センター Ref.C12120504700
- ^ 『陸軍航空の軍備と運用<3>』329-330頁
- ^ 「終戦と学徒」
- 1 特別操縦見習士官とは
- 2 特別操縦見習士官の概要
- 3 沿革
- 4 概要
- 5 著名な出身者
特別操縦見習士官と同じ種類の言葉
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