熱帯性硬木叢林
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/06/21 00:59 UTC 版)
「エバーグレーズの地形と生態系」の記事における「熱帯性硬木叢林」の解説
樹木の島には温帯性あるいは熱帯性の樹木が密生し、熱帯性硬木叢林と呼ばれる。淡水沼地の水面、ソーグラスのプレーリーあるいは松林より1フィートないし3フィート (0.30 - 0.91 m) 高くなる。これらの島は、エバーグレーズの気候を熱帯あるいは亜熱帯として特徴付けしてしまうことの難しさを表している。エバーグレーズ北部の叢林は温帯性の植物種が多いが、フロリダ湾に近づくと熱帯性の樹木と小さな藪が増えて来る。西インド・マホガニーは恐らく、西インド諸島から鳥が種をもたらして広まったと考えられる。 これら叢林は幾らか高い地域を形成し、深い泥炭の野火の被害を受けず、あるいは周辺の泥炭より数インチ高い石灰岩の台地を形成する。硬木叢林は亜熱帯の樹木と硬木の混成であり、大変密度高く成長する。例えばミナミライブオーク、ガンボリンボ、ロイヤルパーム、ウィロウ・バスティックが生育している。叢林の基礎近くでは、葉の鋭いノコギリヤシが繁茂し、通過するのを大変難しくしている。沼地の水は島の周りを流れて堀を作る。野火で維持され成長する生態系もあるが、叢林は回復すまでに数十年あるいは数世紀も掛かる。それ故に、堀は保護のために必須である。樹木の島は大きさに大小があるが、大半は1エーカーから10エーカー (0.40 - 4.05 ha) である。その周りを緩り流れる水が大きさを規定し、上から見ると涙の滴形を作っている。樹木の高さは、霜、落雷、風などの要素で制限される。叢林にある樹木の大半は55フィート (17 m) より高くはならない。 フロリダ・ストラングラー・イチジクが叢林では多く、キャベツヤシの球に根付いているのを特に容易に見られる。地面に根を付けた後は親木の周りに複雑な形を作り上げ、光と栄養分を奪い、最終的に親木に置き換わる。甲虫、蟻、クモ、マイマイなど様々な無脊椎動物が食物連鎖の下位にあり、蛙、フクロウなどの猛禽類、蛇、齧歯動物、ボブキャット、アライグマが上位にある。エバーグレーズにはマイマイだけでも50種以上あり、1つの島に固有の色使いや形状はある叢林で孤立している結果かもしれない。 エバーグレーズの熱帯性硬木叢林は、特に西インド・マホガニーや黒鉄樹を求める造船業者によって材木として伐採されてきた。これら樹木の中で最大かつ最も成熟したものは18世紀に伐採された。セミノール族インディアンは19世紀から20世紀に、叢林の中で集落を作り、6つほどの東屋群で生活する。中央の東屋は料理用、その他の東屋は食事用となる。丸木舟、調理器具、蒸留器、ミシンが遠隔の地に今でも見られる。
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