点火機構
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 07:38 UTC 版)
フリントによる点火 ライターの燃料に点火するために最も広く用いられる機構は、オイルライター・ガスライターを問わず、ヤスリ状の回転ドラムに「フリント」と呼ばれる、直径2ミリメートル高さ5ミリメートル程度の小さな消耗品(火打石)を押し付けて、ドラムを勢い良く回転させ、その摩擦で火花を散らして発火させる物だが、この火花を発生させるために、セリウム70%と鉄30%の合金であるフェロセリウム(アウアー合金。名は発明者カール・ヴェルスバッハの特許であることから)を使用している。ヤスリの回転の摩擦熱と、合金が削られ微粉末となり増えた表面積が空気にさらされることで発火し、燃料に引火する。 もともと、「フリント(火打石)」とは鉄よりも硬い自然石を指す言葉だが、これで鉄片を削って得られる火花よりも、前述のフェロセリウムを鉄のヤスリで削った方が、大量かつ高温の火花を放出できるという性質と、「合金であるために任意の形状への加工がたやすい」という性質から、小さなライターにはちょうどよいということで好んで使用され、今日ではライター用のフリントといえばこのフェロセリウムを指す。 フリントを削るヤスリが露出しており、そこが水に濡れると容易に点火できなくなる欠点がある。 火花放電による点火(いわゆる「電子ライター」) ガスコンロ等の点火装置と基本的に同じ物が、ガスライターに使われている。1970年代には昇圧回路を内蔵したボタン電池による火花放電で点火する物もいくつか存在し、集積回路による静電容量スイッチングで、ボタンに触れるだけで連続放電をおこなって点火する高度な物も発売されたが、ポケットのなかで誤って発火する等の事故も起こりうるだけに、今日において卓上ライター以外では、結晶構造を持つセラミックの一種である圧電素子を使った、ノック式の点火機構が主になっている。圧電素子に衝撃を与えて高電圧を作りスパークさせて燃料に着火する。レバーとバーナーが離れた長い製品も作れる。 今日、電気的な点火機構を持つライターを「電子式ライター」ないし「電子ライター」というが、これは、もともと、前出の昇圧回路を使用した物を指した。しかし、圧電素子も衝撃を与えることで結晶体内部で電子の移動がおこり、それを外部に導いて放電させるので、こちらも「電子式」と呼んでも間違いではない。 ちなみに、ターボライターはほとんどの製品が電子ライターだが、例外的にジッポーからフリント式のターボライターも発売されている。
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