火災発生の報知および情報が7階に伝わらず
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 22:45 UTC 版)
「千日デパート火災」の記事における「火災発生の報知および情報が7階に伝わらず」の解説
7階プレイタウン滞在者に対して、火災発生の報知および正確な情報がまったく伝わらず、異常覚知が大幅に遅れ、初期の避難行動を起こす機会を失った。火災発生直後に電気工事作業者の1人が3階の火災報知機を押したが(22時34分ごろ)、それはデパートビル全館に火災発生を知らせる自動火災報知機ではなく、地下1階電気室と1階保安室に火災を知らせる機能しかなかったため、プレイタウンには火災発生の情報がまったく伝わらなかった。それどころか、火災状況の報告を受けた1階保安室がデパート閉店後のプレイタウンに対して持っている唯一の連絡手段「外線電話(一般加入電話)」で連絡すらしなかった。このためプレイタウン滞在者は火災発生の正確な情報を素早く受け取り、7階から迅速に避難する機会を失った。消防隊の第一陣は現場到着の際、デパートビル保安係員に対し「上はやっているのか(=プレイタウンは営業しているのか)」と尋ねたところ、保安係員らは何を聞かれているのか意味が理解できず、答えられなかったという。また保安係員らは、なぜプレイタウンに通報しなかったのかと問われ「当然7階では火災に気付いていると思ったから連絡しなかった」「建物内に進入する消防隊を案内するために正面出入口シャッターなどを開放することが真っ先に頭に浮かんだ。火災や煙のことで気が動転していて7階への通報は全く考えられなかった」「千日デパートで火災が発生してもプレイタウンへ通報することにはなっていなかった」などと答えている。 プレイタウン関係者らは、7階に流れてきた煙について、ある者はエレベーターの故障が原因だと考えた。またある者は地下1階のプレイタウン専用ロビーで小火があったのだろうと考え、以前にも同じことがあったから今回も大丈夫だと判断した。さらには漂っている煙はプレイタウン電気室が火災を起こしているからだと思い込んだ者もいた。調理場にいた従業員らは空調ダクトから噴き出す煙と熱気に対して、ダクトのどこかが火元だろうと考え、訳も分からずダクト吸入口にバケツで水をかけ続けた。ホールにいた客やホステスらの中には「調理場で魚か干物でも焼いているんだろう」「以前、店の営業中にバンドマン控室で殺虫剤を焚いて、その煙がホールに流れてきて騒動になったことがあり、またそれが起こったか」と考えた者さえいた。 7階に煙が流入したことを関係者らが最初に覚知したのは22時35分から36分ごろであり、大量の黒煙と有毒ガスが流入するまで約7、8分の時間的余裕があった。この間に何らかの方法で火災の正確な情報がプレイタウンに知らされていれば、まったく意味のない無駄な消火活動をしたり、漫然と煙が漂う状況を見過ごしたりすることなく、すぐさま避難行動に移れたと考えられている。その時点でまだ稼働していたエレベーター、もしくはB階段でいくらかの避難は可能だった。火災初期に迅速な避難がなされていれば、ホステス更衣室と宿直室に滞在していた11人を除いて、170人程度のプレイタウン滞在者は無事に地上へ避難できていた可能性が高いとされている。#共同防火意識の欠落
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