火災現場における調査手順
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 14:39 UTC 版)
「火災調査」の記事における「火災現場における調査手順」の解説
火災は、何らかの原因が出火の起点となって拡大し、周辺の物を含めて焼損させるとともに、場合によっては関係者を死に至らしめるため、手がかりとなる対象が限られており、原因となる事象を究明するのは困難なことである。また、火災現場は、焼けた物の倒壊や落下、さらに消火作業なども含めて、出火時の原型を留めていないことが多く、発掘等の作業手順を間違えると正確な原因にたどり着けなくなる。このため、火災現場では、消防や警察などの関係機関の調査担当者は、現場の保全や発掘等の作業手順などを共有化した調査手順により火災調査活動がなされる。 火災調査活動としては、現場到着時の燃えている状態やその時の関係者の供述内容を現認している消防隊の見分内容が必要となることからこれらを「消防活動中の調査活動」と呼び、次いで、鎮火後に発掘や復元を含めた本格的な現場活動となる「鎮火後の調査活動」、また、出火に関係したと思われる物件の分解や鑑定、あるいは火災実験などの「立証のための調査活動」と呼んで、時系列的に実施されている。 最も重視される「鎮火後の火災現場における調査手順」は、消防活動中の調査内容と関係者からの質問、火災現場の倒壊や焼損状態から、まず、出火箇所を特定することから始まる。数棟が焼損した火災現場では、出火した建物の特定から行われるが、出火した箇所は関係者の確かな供述があったとしても判断が付かないことがあり、このため「出火箇所」は、出火した建物の部屋単位で特定することとなっている。出火箇所は、部屋単位の広さを有する範囲であり、出火したと特定される地点(位置)ではない。次に、出火箇所周辺を含めた周辺範囲から落下、倒壊した焼損物を取り除き(発掘)、できる限り出火時の現場に近い状態にする。その上で、出火箇所から推定される幾つかの出火原因をとりあげ、焼損状態や関係者供述などを踏まえて、最も合理的で妥当とされる出火原因を帰納法により推定して、当該火災の出火原因とする。 例えば、住宅の居室からの火災であれば、放火、子供の火遊び、たばこ、暖房器具や照明器具などの電器製品、石油ストーブ、収れんなど、その出火したと推定される部屋の火災原因となる要因は無数に存在する。これらのそれぞれの原因を取り上げて、妥当性を評価して、出火原因を判定することである。火災原因調査では、建物の用途も工場やホテルなどさまざまであり、自動車、船舶なども対象とすることから、火災の出火原因は多数存在する。ゆえに、出火原因を判定する人によって、原因が異なる場合もあり得ることから、原因判定者は現場調査経験を積んだ者が担当することとなっている。
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