濃厚赤血球
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/25 08:11 UTC 版)
略称はRBC、RBC-LR、RCC、RCC-LR、RC-M.A.P.(RBC:Red Blood Cells, 旧略称RCC:Red Cells Concentrates, MAP:Mannitol Adenine Phosphate)等。全血から、赤血球のみを取り出し、MAPなどの保存液を添加したもの。極度の貧血(鉄欠乏やビタミンB12欠乏など薬物治療が有効でないものに限る)や外傷・手術による出血に対して用いる。2007年2月より全白血球除去となり、薬価も4000円ほど (400 ml) 高くなった。しかし、全く白血球が残存していないことが保証されているわけではない。保存期間は2 - 6℃で21日間。通常は2単位を1時間で点滴する。他の低張な輸液製剤と混ぜると溶血することがあるので注意が必要である。1単位は血液200 mlを遠心分離によって区分けし、保存液などを合わせて140 mLとしている。マップ (MAP) と略称されることがあるが、その言葉は、全く濃厚赤血球を意味しない。また、日本国内で製造、販売されている濃厚赤血球は、ほとんどすべてが、「照射赤血球液-LR」という製品であり、製造元で使用されている略称は、「Ir-RBC-LR」である。「Ir」とは、放射線を照射(Irradiation)することにより、僅かに含まれている白血球を不活化し、GVHDの発症を予防している事を示す。「LR」は、白血球除去処理済み (Leukocytes Reduced) の略語である。 濃厚赤血球の適正使用 循環血液量の15 - 20%の出血なら細胞外補充液、20 - 50%なら人工膠質液を投与し、赤血球不足による酸素供給不足が疑われればRBCを投与する。通常、慢性貧血でも日常生活(QOL)などに支障が無ければ輸血は行われない。また、AIHA(自己免疫性溶血性貧血)でも最初は副腎皮質ステロイド薬が第一選択となる。輸血開始から長くても約6時間以内に輸血を完了させるのが望ましい。 濃厚赤血球の投与量計算 RBC-LRの1単位のHb値は19g/dl、容量は140ml(2単位なら280ml)なので1単位あたり19g/dl×140ml/100=約26gのHbが含まれている。また循環血液量は70mL/kgなので 予測上昇Hb値(g/dl)=投与Hb量(g)/体重(kg)×(70ml/kg) /100 例えば体重70kgの患者に2単位のRBCを投与した場合、上記の式より 予測上昇Hb値(g/dL)= 19g/dl×280ml/100/70kg×(70ml/kg) /100 =約1.08g/dlとなる
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