消費時間の計測
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 04:55 UTC 版)
1分未満切り捨ての計時 プロ将棋の対局では多くの場合、記録係によりストップウォッチで計時され、実際に消費した時間から1分未満の部分を切り捨てたものが消費時間として記録される。持ち時間の最後の1分は使い切らずに残して指す必要があり、残り1分になってからは1手1分未満で指し続ける「1分将棋」となる。 対局では終局までにほとんどの棋士が持ち時間をほぼ使い切るが、展開によっては持ち時間をほとんど使わずに対局が終了することがあり、中には終局まで1手1分未満で指し続けて「自分の持ち時間を1分も使わずに勝利する」といった例も存在する。公式戦で記録が残っているものとしては、過去に関屋喜代作、灘蓮照、大平武洋の3人が達成している。 対局時計による計時 テレビ棋戦など持ち時間の短い棋戦では、計時に対局時計(チェスクロック)が用いられる。対局時計使用の対局では消費時間が秒単位で計測され、持ち時間を使い切るとそこから「1分将棋」や「30秒将棋」などになる。チェスクロックの操作はプロ棋戦では記録係が行い、アマチュアの大会では対局者自身が行うことが多い。アマチュアの大会では、持ち時間を使い切った時点で負けとする(「切れ負け」という)ルールもある。1秒未満の消費時間は通常切り捨てとなるが、コンピュータ将棋では1手1秒未満で着手することが可能なため、「1手につき最低1秒は必ず消費する」ルールを採用する場合がある。 テレビ棋戦の銀河戦・NHK杯、および公開対局を行う日本シリーズ・達人戦(達人戦は決勝のみ)では、持ち時間を使い切った後は原則として1手30秒未満で指さなくてはならない。ただし、これらの棋戦では、規定の回数を限度として、1手に考える時間を30秒以上に延長することができる。この延長時間のことを考慮時間という。前記のいずれの棋戦も考慮時間は1分単位と規定されているが、1手に2回以上の考慮時間を連続して使ってもよい。たとえば、考慮時間を1回使えば1手に1分30秒考えることができ、3回連続で考慮時間を使えば1手に3分30秒考えることができる。なお、考慮時間を使用するか否かを対局者自身が宣言する必要はなく、対局者が指さないまま考慮時間に入った時点で記録係がその旨を告げる。 遅刻の取り扱い 日本将棋連盟の対局規定によれば、対局に遅刻をした場合、遅刻をした時間の3倍の時間、即ち10分遅刻なら30分、30分遅刻なら1時間半を持ち時間から差し引くことになっている。差し引かれる時間がその対局の持ち時間を上回った場合、あるいは1時間以上遅刻した場合は不戦敗となる。 なお対局者の一方が意図的なボイコットを事前に宣言している場合も運用上は遅刻扱いとなるため、対局の持ち時間が切れるまで不戦敗は確定しない(具体例として、2013年1月のマイナビ女子オープン準決勝・里見香奈対石橋幸緒戦などがある)。 休憩時間 ある程度持ち時間の長い対局の場合、途中に昼食・夕食の時間を必要とするため、その間は休憩時間となり持ち時間を消費しない。2017年現在、タイトル戦の番勝負を除き、昼食休憩・夕食休憩共に40分間(夕食休憩は原則として1日制で持ち時間5時間以上、あるいは2日制で持ち時間9時間以上の場合のみ。ただし対局開始が午後の場合(かつての叡王戦本戦など)は夕食休憩が設けられることもある)。また千日手や持将棋による引き分けの場合も、原則として指し直し局までの間30分間の休憩が取られる(ただタイトル戦の番勝負では、持将棋の場合即日指し直しを行わないことが多い)。
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