海・川の動植物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 05:58 UTC 版)
三方を海で囲まれた地形であり、地形・海流の関係により多様な生態系が築かれている。 東京湾は閉鎖性水域と呼ばれる、海水の流出入量が少ない海域である。複数の河川が注ぎ、富栄養化が進んでいる影響で、赤潮や青潮などの現象が度々発生している。湾奥の三番瀬や、富津干潟、盤州干潟などの広大な干潟が現在も残る。これらの干潟にはアサリやバカガイなどの貝が生息し、春から夏にかけて潮干狩りが行われている。アシハラガニやガザミといった甲殻類から、アジサシやカワウなどの鳥類も生息する。小櫃川河口には環境省のレッドリストにて絶滅危惧IB類に指定されている東京湾固有種のキイロホソゴミムシが生息し、アシ原(ヨシ原)を形成しているアシ(ヨシ)をはじめ、ハマダイコンなどの植物やアマモなどの海藻が生息する。 富津市と鋸南町の境界付近にある明鐘岬周辺より南の海域からは、わずかながらサンゴが生息している。これは、黒潮の影響を受けた海水温と透明度の高い海水が流入するためである。そしてこの近辺からは東京湾海底谷が広がり、メガマウスやミツクリザメなどの貴重な深海生物が多く生息している。館山市周辺海域には造礁サンゴが分布している。日本は黒潮の暖かい海流により世界的に見て造礁サンゴが広い範囲に分布しているが、その中で館山の造礁サンゴは北限とされている。 そのほか東京湾および館山湾周辺にはスズキやメバルにイイダコ、アカエイなど豊富な魚類が生息している。 館山周辺の沿岸から夷隅地区はイセエビが豊富に生息しており、いすみ市および県全体では漁獲高全国1位である。鴨川市には特別天然記念物にも指定されている鯛の浦がある。これは群泳せず浅い海を泳がないマダイが群泳する姿を、海面近くでみることができるためである。 房総半島は標高が低いこともあり、水温の低い谷川はない。そのため、カワゲラやカゲロウは全体として少なく、ヤマメや大卵型のカジカは生息していない。 外来生物 勝浦市にはかつて行川アイランドと呼ばれる観光地があり、この施設から逃げ出したとされるキョンが勝浦市周辺で繁殖しており、県内には数千頭生息しているとされている。また盤洲干潟や富津干潟などにはサキグロタマツメタと呼ばれる貝が流入している。これは本来、中国近海の干潟や瀬戸内海などにしか生息していない貝であったが、中国などからのアサリの輸入に際して混入してきたとされる。この貝はアサリなどの二枚貝を捕食するため、在来種であるツメタガイとともに干潟の多くのアサリの天敵となっている。
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