海峡に設定されたもの
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 00:07 UTC 版)
宮部線:択捉島の北・得撫島との間。 トドマツ、エゾマツ、ミズナラなどの植物の分布境界線。植物学者宮部金吾にちなむ。この線から南の植物は北海道のものと一致する。 八田線(宗谷線):両生類、爬虫類などの分布の違いから宗谷境界(樺太-北海道間)に引かれた分布の境界線。 両生類と昆虫類の研究をもとに、1910年に八田三郎が提唱。多くの動物の北限が北海道にあり、ブラキストン線よりも重要との見方もある。 ブラキストン線(ブレーキストン線):本州と北海道の間の津軽海峡に引かれた動物の分布の境界線。 トーマス・ブレーキストンが鳥類の研究を元に指摘。哺乳類にもよく適合する。ここを北限とするものにツキノワグマ・ニホンザル・ライチョウ・ヤマドリ・アオゲラ・カモシカ・ムササビ・モグラ・カワネズミ・ヒミズが、また、この線を南限とするものにはヒグマ・エゾシマリス・ミユビゲラ・ヤマゲラ・シマフクロウ・ギンザンマシコ・クロテン・ナキウサギ・シマリス・エゾヤチネズミなどがある。タヌキやキツネ、ニホンジカも別亜種である。 対馬線(対馬海峡線):対馬海峡に引かれた分布の境界線。 大陸系の哺乳類ツシマヤマネコ、爬虫類アカマダラなどが対馬に分布することから。ただし対馬には日本固有種の分布も多く、朝鮮海峡線のほうが分布の境界線としては重要との見方もある。 朝鮮海峡線:朝鮮半島との間の境界線。 対馬には本州・九州などと共通する種も多く朝鮮半島との間の生物境界線は対馬海峡ではなく、むしろ朝鮮海峡としたほうがよいとする説がある。またこの朝鮮海峡線と対馬線とを複合させて一つの境界線とする見方もあり、この場合対馬は隣接地区間の推移地区とみなされる。 渡瀬線:トカラ構造海峡とも呼ばれる、トカラ列島南部の悪石島と小宝島の間に引かれた動物の分布の境界線。 この線を南限とするものにはニホンザル、ムササビ、ニホンカモシカなど。これより南に産するものとしてはルリカケス、アマミノクロウサギなど、またトゲネズミ、ケナガネズミなどは台湾よりさらに南のインドネシアに関連が深い。他にもニホンマムシとハブの境界など。名は渡瀬庄三郎にちなむ。この線を境として北は旧北亜区(中国・日本地方区)、南は東洋亜区に属することになる。多くの動物がこの線を境として分布を異にしている。 三宅線:屋久島、種子島の北・九州との間。 昆虫の研究を元に設定。南方系の蝶類はこの線を北限としているものが多く、このことから江崎悌三が1929年に昆虫学者三宅恒方にちなんで名づけた。内容的には渡瀬線とほぼ同じ。その意義としては渡瀬線の方が重要と見られる。 蜂須賀線:沖縄諸島と八重山諸島の間に引かれた分布の境界線。 八重山の陸産貝や淡水性の甲殻類には台湾との共通種が見られる。鳥類の分布の違いから蜂須賀正氏が1926年に提唱、山階芳麿が命名した。
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