沿岸監視隊 (陸上自衛隊)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/13 03:40 UTC 版)
沿岸監視隊(えんがんかんしたい、JGSDF Coast Observation Unit)は、陸上自衛隊の情報科部隊の一つである。
概要
日本の沿岸を航行する船舶の情報収集を主任務とする。定点で監視を行う沿岸監視隊が3個隊編成されている。また、移動式の器材を装備した移動監視隊がかつて編成されていた時期があるが、無人偵察機隊と併合し、『情報収集隊』として編成された。
かつては諸職種混成部隊であったが、情報科職種が2010年(平成22年)3月に新設され情報科部隊となった。隊長はいずれの部隊も2等陸佐をもって充てられる。
任務は情報収集であり、侵攻してきた敵の対処は他の部隊が行うため、武器は隊員および装備品を防護するための小火器のみである。
南鳥島では海上自衛隊の南鳥島航空派遣隊が国境警備や監視を行っている。
部隊一覧
2025年(令和7年)現在、沿岸監視部隊に類別される部隊は以下のとおり。
沿岸監視隊の一覧
廃止された移動監視隊の一覧
- 北部方面移動監視隊(倶知安駐屯地)北部方面情報隊:2025年(令和7年)3月23日に中部方面情報収集隊に改組。
- 中部方面移動監視隊(今津駐屯地)中部方面情報隊:2025年(令和7年)3月23日に中部方面情報収集隊に改組。
- 西部方面移動監視隊(北熊本駐屯地)西部方面情報隊:2025年(令和7年)3月23日に西部方面情報収集隊に改組。
部隊配置
沿岸監視隊
沿岸監視隊(えんがんかんしたい)は、陸上自衛隊の方面情報隊隷下の情報科部隊で北部方面隊に2個、西部方面隊に1個が編成されている。
第301沿岸監視隊
第301沿岸監視隊(さんまるいちえんがんかんしたい)は、陸上自衛隊稚内分屯地に駐屯する北部方面情報隊隷下の情報科部隊である。隊長は2等陸佐で稚内分屯地司令を兼務する。自衛のために軽武装し、レーダーや光学機器などを活用して宗谷海峡を航行する船舶の警戒・監視、情報収集を主任務とする[1]。礼文島の礼文分屯地に派遣隊を配置して死角を補っている。
- 創設 :1955年(昭和30年)12月1日
- 編成地 :札幌駐屯地
- 部隊長 :2等陸佐
- 隊旗 :水色の大隊旗
- 車両表示:301沿監
- 編成 :
- 第301沿岸監視隊本部
- 隊本部班
- 情報班
- 通信器材班
- 派遣隊(礼文分屯地)
- 隊本部班
- 情報班
- 駐屯地 :
- 上級部隊:
第302沿岸監視隊
第302沿岸監視隊(さんまるにえんがんかんしたい)は、陸上自衛隊標津分屯地に駐屯する北部方面情報隊隷下の情報科部隊である。隊長は2等陸佐で標津分屯地司令を兼務する。自衛のために軽武装し、レーダーや光学機器などを活用して根室海峡を航行する船舶の警戒、監視、情報収集を主任務とする[1]。羅臼町に羅臼分室を配置して、沿岸監視レーダや高倍率の光学監視装置で国後島を監視する。
- 創設 :1956年(昭和31年)7月10日
- 編成地 :標津分屯地
- 部隊長 :2等陸佐
- 隊旗 :水色の大隊旗
- 車両表示:302沿監
- 編成 :
- 第302沿岸監視隊本部
- 隊本部班
- 情報班
- 通信器材班
- 羅臼分室(羅臼町)
- 上級部隊:
与那国沿岸監視隊
与那国沿岸監視隊(よなぐにえんがんかんしたい)は、陸上自衛隊与那国駐屯地に駐屯する西部方面情報隊隷下の情報科部隊である。南西諸島の警戒・監視を主任務とする。隊長は2等陸佐が充てられ、与那国駐屯地司令を兼務する。定員は約110名(新編時)。
- 創設 :2016年(平成28年)3月28日
- 編成地 :与那国駐屯地
- 部隊長 :2等陸佐
- 隊旗 :水色の大隊旗
- 車両表示:与那国沿監
- 編成 :
- 与那国沿岸監視隊本部(約10名)
- レーダー班(約20名)
- 監視班(約10名)
- 警備小隊(約30名)
- 整備班 ※後方支援隊から縮小改編
- 警備隊区:与那国町[2]
- 上級部隊:西部方面情報隊
- 備考 :新編時は、後方支援隊が編成にあり駐屯地管理業務を行っていたが、与那国駐屯地業務隊の編成により廃止され業務を移管した。
移動監視隊(廃止)
北部方面移動監視隊
北部方面移動監視隊(ほくぶほうめんいどうかんしたい)は、陸上自衛隊倶知安駐屯地に駐屯していた北部方面情報隊隷下の情報科部隊で2025年(令和7年)3月23日に北部方面無人偵察機隊との併合により廃止された。北部方面管内の沿岸監視を主要任務としていた。定員は50名。
- 主要装備:
- 地上レーダー装置1号(改)[4]
- 近距離監視装置
- 高感度撮影装置
- 上級部隊:北部方面情報隊
- 廃止 :2025年(令和7年)3月23日
- 廃止地 :倶知安駐屯地
- 後継部隊:北部方面情報収集隊の一部
- 備考 :北部方面無人偵察機隊(静内駐屯地)と併合し、北部部方面情報収集隊を新編。
中部方面移動監視隊
中部方面移動監視隊(ちゅうぶほうめんいどうかんしたい)は、陸上自衛隊今津駐屯地に駐屯していた中部方面情報隊隷下の情報科部隊で2025年(令和7年)3月23日に中部方面無人偵察機隊との併合により廃止された。第13旅団の第13偵察隊(出雲駐屯地)と連携し、中部方面管内の日本海沿岸監視を主要任務としていた。定員は50名。
- 創設 :2008年(平成20年)3月26日
- 編成地 :今津駐屯地
- 部隊長 :2等陸佐
- 隊旗 :水色の大隊旗
- 車両表示:中方移監
- 主要装備:
- 地上レーダー装置1号(改)
- 近距離監視装置
- 高感度撮影装置
- 上級部隊:
西部方面移動監視隊
西部方面移動監視隊(せいぶほうめんいどうかんしたい)は、陸上自衛隊北熊本駐屯地に駐屯していた西部方面情報隊隷下の情報科部隊で2025年(令和7年)3月23日に西部方面無人偵察機隊との併合により廃止された。西部方面管内の沿岸監視を主要任務としていた。
- 創設 :2023年(令和5年)3月16日
- 編成地 :北熊本駐屯地
- 部隊長 :2等陸佐
- 隊旗 :水色の大隊旗
- 車両表示:西方移監
- 主要装備:
- 地上レーダー装置1号(改)
- 近距離監視装置
- 高感度撮影装置
- 上級部隊:西部方面情報隊
沿革
- 1955年(昭和30年)12月1日:北部方面隊直轄部隊として第301沿岸監視隊が札幌駐屯地に新編。
- 1956年(昭和31年)
- 1968年(昭和43年)3月1日:第301沿岸監視隊派遣隊が礼文分屯地に新編。
- 1972年(昭和47年):第302沿岸監視隊羅臼分室を設置。
- 2008年(平成20年)3月26日:中部方面隊直轄部隊として中部方面移動監視隊が今津駐屯地に新編。
- 2010年(平成22年)3月26日:中部方面移動監視隊が新編の中部方面情報隊に編合。
- 2013年(平成25年)3月26日:第301沿岸監視隊、第302沿岸監視隊が新編の北部方面情報隊に編合。
- 2016年(平成28年)3月28日:西部方面情報隊の隷下に与那国沿岸監視隊が与那国駐屯地に新編。
- 2017年(平成29年)3月27日:北部方面情報隊の隷下に北部方面移動監視隊が倶知安駐屯地に新編。
- 2023年(令和 5年)3月16日:
- 2025年(令和 7年)3月24日:
- 北部方面移動監視隊(倶知安駐屯地)、北部方面無人偵察機隊(静内駐屯地)を廃止統合し、北部方面情報隊の隷下に北部方面情報収集隊が倶知安駐屯地に新編。
- 中部方面移動監視隊(今津駐屯地)、中部方面無人偵察機隊(今津駐屯地)を廃止統合し、中部方面情報隊の隷下に中部方面情報収集隊が今津駐屯地に新編。
- 西部方面移動監視隊(北熊本駐屯地)、西部方面無人偵察機隊(飯塚駐屯地)を廃止統合し、西部方面情報隊の隷下に西部方面情報収集隊が北熊本駐屯地に新編。
- 東部方面情報隊の隷下に東部方面情報処理隊が北富士駐屯地に新編。
脚注
- ^ a b 陸上自衛隊パーフェクトガイド (2003-2004),P57,学習研究社,ISBN 4056032033
- ^ “防衛省防災業務計画(令和6年3月28日)”. pp. 76-79. 2024年12月20日閲覧。
- ^ “北部方面移動監視隊 市街地広報支援・第1小隊訓練検閲・第7回訓練”. www.mod.go.jp. 2023年1月26日閲覧。
- ^ “北部方面移動監視隊観測器材研修”. www.mod.go.jp. 2023年1月26日閲覧。
- ^ a b “今津駐屯地紹介”. 陸上自衛隊 今津駐屯地. 2025年4月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年4月7日閲覧。
- ^ 陸上自衛隊西部方面隊 [@JGSDF_WA_pr] (16 March 2023). “令和5年3月16日、各駐屯地において新編部隊等の編成完結が行われました。”. X(旧Twitter)より2023年4月24日閲覧.
関連項目
- 沿岸監視隊_(陸上自衛隊)のページへのリンク