汚染の実態
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To every quart of milk a pint of water is added; then a quantity of chalk, or plaster of Paris to take away the blush appearance produced by dilution. Magnesia, flour and strarch to give it consistency, after which a small quantity of molasses is pored in to produce the rich yellow color which good milk generally possesses. — "DEATH IN THE JUG.", New York Times, January 22, 1853 1クォート〔約1リットル〕の牛乳ごとに1パイント〔約500ミリリットル〕の水が加えられている。それから、相当な量の白亜または焼き石こうが、水で薄めた結果生じる牛乳の青みがかった色をなくすために加えられる。そして、濃度を高めるために酸化マグネシウム、小麦粉、デンプンが加えられる。その後、良質の牛乳が持つ濃い黄色を出すために少量の糖蜜が加えられる。 — 『ビンの中に死がある』 ニューヨーク・タイムズ 1853年1月22日 ニューヨーク州の都市部で販売されていた牛乳は、「残滓を卸売する蒸留酒業者、…残滓を用いて牛の価値を貶めさせている家畜業者、…そして、家々の軒先で化膿物を吐き出す牛乳配達人…」 などにより汚染されていた。こうした牛乳の品質や食品表示に関する問題は、生産者である酪農業者だけではなく小売業者までをも含めた流通全体にまたがる性質を有していた。記事では、マレイリーが挙げる例証として、ニューヨーク市内最大の酪農業者であるジョンソン商会が所有する酪農場と小売業者による牛乳の水増しの実態について報告している。ジョンソン商会所有の酪農場はマンハッタンの10番街と西16丁目付近に所在しており、夏季にはひどい悪臭が周囲に漂うために付近の住民が一時的に退避せざるを得ず、市の衛生検査官に苦情が多く寄せられる状況であった。悪臭の発生源とみなされていた酪農場で飼育されていた牛はより劣悪な環境に置かれており、「飼育されていた6、700頭の牛は不潔な牛舎に押し込まれていて、糞が固まっている床に横になる時以外、残滓の入った飼養桶の前にほぼ絶えず立たされ」 ていた。また、生乳を入れる牛乳缶は洗浄されず、乳搾りに携わる者は手を洗うという観念を有しておらず、生乳に混入した汚染物を指で取り除くなどの不衛生な環境で飼育され、蒸留酒の製造の際に副産物として生じる残滓を与えられた牛の牛乳は、さらに酪農業者自身や小売業者の手によって水増しされ、一般の消費者の口に運ばれていた。
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