汚染と保護
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/05 14:28 UTC 版)
ガンジス川の豊富な水は様々な用途に使われているが(「経済」を参照)、両岸には上水道や下水道が未整備の地域が多い。また宗教上の理由からトイレを設けない家庭も多く、河川周辺での屋外排泄を行う人口も多いことなどもあり水質汚染が進んでいる。2007年には世界で最も汚染された5つの河川となり、ワーラーナシー付近での大腸菌レベルはインド政府の定める基準の100倍にまで上った。汚染は人間だけでなく140種の魚類や90種の両生類、絶滅危惧種のガンジスカワイルカなどにも大きな影響を与えている。またこの汚染は、ガンジス流域に住む4億人の健康にも多大な悪影響を及ぼしている。この膨大な人口から排出される下水や化学物質、ゴミがさらに汚染を深刻化させている。川の周辺に住む多くの貧困層が川の水を直接、食事や洗濯、風呂に使用することで健康上の被害はさらに拡大している。 ガンジス川には、抗生物質や抗菌薬を濫用した人間・家畜の排泄物が流れ込むため、それに混じった耐性菌によると見られる病気が近年増えている。 2017年3月20日、ウッタラカンド州の裁判所はガンジス川と支流のヤムナ川を「命ある存在」と認め、インド政府の浄化事業責任者を代理人として提訴などを行える法的権利を持つとの判断を示した。川の汚染をこれ以上悪化させないために川に人格を認めるという判断ではあったが、同年7月7日、インド最高裁判所は下級審の判断を無効とする判決を下している。
※この「汚染と保護」の解説は、「ガンジス川」の解説の一部です。
「汚染と保護」を含む「ガンジス川」の記事については、「ガンジス川」の概要を参照ください。
- 汚染と保護のページへのリンク