水素の再結合とは? わかりやすく解説

水素の再結合

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 02:27 UTC 版)

宇宙の晴れ上がり」の記事における「水素の再結合」の解説

宇宙温度が数 eV より高温初期宇宙ではほとんどすべての水素原子電離状態にあるため、光子電子頻繁にトムソン散乱する。やがて宇宙温度が下がり物質密度減少すると、電子陽子結合し電気的に中性水素形成する。この過程宇宙再結合として知られている。 宇宙再結合1968年ジェームズ・ピーブルス、およびそれとは独立ヤーコフ・ゼルドビッチグループによって詳しく調べられた。初期宇宙では陽子電子光子熱平衡にあり、サハの電離公式 x e 2 1x e = 1 ( 1 − Y p ) n b 0 ( m e k B T 2 π ℏ 2 ) 3 2 exp ⁡ ( − B 1 k B T ) {\displaystyle {\frac {x_{e}^{2}}{1-x_{e}}}={\frac {1}{(1-Y_{p})n_{\mathrm {b0} }}}\left({\frac {m_{e}k_{\mathrm {B} }T}{2\pi \hbar ^{2}}}\right)^{\frac {3}{2}}\exp \left(-{\frac {B_{1}}{k_{\mathrm {B} }T}}\right)} が良い近似成り立つ ( T {\displaystyle T} は光子温度k B {\displaystyle k_{\mathrm {B} }} はボルツマン定数、 ℏ {\displaystyle \hbar } は換算プランク定数、 m e {\displaystyle m_{e}} は電子質量B 1 = 13.6 e V {\displaystyle B_{1}=13.6\,\mathrm {eV} } は水素原子結合エネルギーn b 0 {\displaystyle n_{\mathrm {b0} }} は現在の宇宙バリオン数密度Y p = 0.75 {\displaystyle Y_{p}=0.75} はビッグバン元素合成によるヘリウム存在量)。やがて密度減少し再結合反応率がハッブル時間上回るうになる熱平衡破れる(ガモフ基準)。ピーブルスのモデルでは中性水素の状態として 1s 状態、2s 状態、2p 状態を考え2s 状態から 1s 状態への2光子遷移2p 状態から 1s 状態へのライマンα遷移考慮する。ただし、ライマンα遷移により放射されるライマンα光子近傍1s 水素吸収されるとそれを 2p 状態へ励起するが、この過程ライマンα光子赤方偏移を受け 1s 水素吸収線幅から外れると起こらない。この結果電離度 x e {\displaystyle x_{e}} は d x e d T = α B H T Γ 2 s + 3 P Γ 2 p Γ 2 s + 3 P Γ 2 p + β [ ( 1 − Y p ) n b 0 x e 2 − ( m e k B T 2 π ℏ 2 ) 2 exp ⁡ ( − B 1 k B T ) ( 1 − x e ) ] {\displaystyle {\frac {dx_{e}}{dT}}={\frac {\alpha _{\mathrm {B} }}{HT}}{\frac {\Gamma _{2s}+3P\Gamma _{2p}}{\Gamma _{2s}+3P\Gamma _{2p}+\beta }}\left[(1-Y_{p})n_{\mathrm {b0} }x_{e}^{2}-\left({\frac {m_{e}k_{\mathrm {B} }T}{2\pi \hbar ^{2}}}\right)^{2}\exp \left(-{\frac {B_{1}}{k_{\mathrm {B} }T}}\right)(1-x_{e})\right]} β = α B ( m e k B T 2 π ℏ 2 ) 3 2 exp ⁡ ( − B 1 4 k B T ) {\displaystyle \beta =\alpha _{\mathrm {B} }\left({\frac {m_{e}k_{\mathrm {B} }T}{2\pi \hbar ^{2}}}\right)^{\frac {3}{2}}\exp \left(-{\frac {B_{1}}{4k_{\mathrm {B} }T}}\right)} という方程式満足することになる。ここに α B {\displaystyle \alpha _{\mathrm {B} }} はケース B の再結合係数、 H {\displaystyle H} はハッブルパラメータ、 Γ 2 s = 8.22458 s e c − 1 {\displaystyle \Gamma _{2s}=8.22458\,\mathrm {sec} ^{-1}} は 2 光子遷移 2 s1 s {\displaystyle 2s\to 1s} の単位時間あたりの確率、 Γ 2 p = 4.699 × 10 8 s e c − 1 {\displaystyle \Gamma _{2p}=4.699\times 10^{8}\,\mathrm {sec} ^{-1}} はライマンα遷移率、 P = 8 π H 4 λ α 3 n 1 s ( t ) {\displaystyle P={\frac {8\pi H}{4\lambda _{\alpha }^{3}n_{1s}(t)}}} はライマンα光子吸収線幅からの「脱出確率」( λ α {\displaystyle \lambda _{\alpha }} はライマンα光子波長)である。この方程式を解くことで電離度 x e {\displaystyle x_{e}} の時間進化求めることができ、 T ∼ 4000 K {\displaystyle T\sim 4000\,\mathrm {K} } 付近x e {\displaystyle x_{e}} は 1 から減少し始めT = 100 K {\displaystyle T=100\,\mathrm {K} } で x e ∼ 2 × 10 − 4 {\displaystyle x_{e}\sim 2\times 10^{-4}} まで減少する。 このモデル1999年に Seager, Sasselov & Scott による精密な数値計算によって検証され基本的に正し描像与えることが確認された。ただし彼らの結果によると、ピーブルスモデルにおいて再結合係数 α B {\displaystyle \alpha _{\mathrm {B} }} として 1.14 を乗じたものを採用することで精密な計算との定量的一致がさらに改善するまた、ヘリウム再結合1969年佐藤文隆らによって計算された後、最近では2008年に Switzer & Hirataによってより精密な計算なされた

※この「水素の再結合」の解説は、「宇宙の晴れ上がり」の解説の一部です。
「水素の再結合」を含む「宇宙の晴れ上がり」の記事については、「宇宙の晴れ上がり」の概要を参照ください。

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