水素の使用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 01:01 UTC 版)
「LZ 129 (飛行船)」の記事における「水素の使用」の解説
浮揚ガスとしては、飛行船には最も安全であるとして不活性のヘリウムが選ばれたが、当時それはあまりにも高価であり、アメリカ合衆国の天然ガス備蓄から供給されていた。それに比べて水素は、誰にでも安価に生産でき、また水素とヘリウムの比重差から、浮揚できる重量や上昇高度もヘリウムに比べて多大であった。ヘリウムを使用するアメリカの硬式飛行船はガスの徹底的な節約を強いられ、それが活動を妨げていた。 水素で浮揚する飛行船は必要なときにはガスを排出することができたが、高価なヘリウムで浮揚する飛行船は、軽すぎて降下できないときにはガスを排出できず、構造に無理がかかっても力学的な方策を採らねばならなかった。アメリカ合衆国は最初ドイツにヘリウムを売りこもうとしたが、すぐにドイツに対する軍需物資の禁輸が行われたために、ヒンデンブルクは水素を使用するように変更を強いられた。 可燃性の水素を使うことの危険性は明らかだったが、十分な浮揚力を提供する十分な量が用意できるガスは他には存在しなかった。水素を使用することの効果の一つは客室を追加できるということだった。水素による旅客飛行船を一人の死傷者も無く運用した長い歴史を持つドイツは、水素の安全な使用に熟達しているという大きな確信を持っていた。水素とともに飛ぶということは、今日では信じられないほど危険な行為だが、当時は全く合理的であると考えられたのである。ヒンデンブルクの最初のシーズンは、これを証明したかのようであった。
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