水素と二酸化炭素からのメタン生成経路
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/12 08:50 UTC 版)
「メタン生成経路」の記事における「水素と二酸化炭素からのメタン生成経路」の解説
メタン生成は、以下の7種類の反応経路からなる。なお、太字の部分が炭素のキャリアー(二酸化炭素の炭素原子を所持している分子)であることを表す。 CO2 + MFR + H2 → ホルミルMFR ΔG°=+16kJ/mol ホルミルMFR + H4MPT → MFR + ホルミルH4MPT ΔG゜=-4.4kJ/mol ホルミルH4MPT → メテニルH4MPT ΔG°=-4.6kJ/mol H2 + F420 → F420H2 + メテニルH4MPT → メチレンH4MPT ΔG゜=-5.5kJ/mol H2 + F420 → F420H2 + メチレンH4MPT → メチルH4MPT ΔG゜=-17kJ/mol メチルH4MPT + SH-CoM → H4MPT + CH3-S-CoM ΔG゜=-30kJ/mol(ΔμNa+発生) CH3-S-CoM + SH-CoB → CoM-S-S-CoB + ↑CH4 ΔG°=-45kJ/mol CoM-S-S-CoB + H2 → SH-CoM + SH-CoB ΔG゜=-40kJ/mol(ΔμH+発生) この反応系では、1.の反応のみが標準自由エネルギー変化が正であり、エネルギーの投入を必要とするが、そのエネルギーは6.のナトリウムイオン濃度勾配(ΔμNa+)のエネルギーを用いて行なわれる。また、4.の反応だが、F420 を介さず、直接H2を付加する系も種によっては存在し、以下の式で表される。 メテニルH4MPT + H2 → メチルH4MPT 標準自由エネルギー変化は同じである。 これらの反応を行なう、酵素群の名前は以下の通りである。 ホルミルMFRデヒドロゲナーゼ ホルミルMFR:H4MPTホルミルトランスフェラーゼ メテニルH4MPTシクロヒドロラーゼ F420依存性メチレンH4MPTデヒドロゲナーゼ F420依存性メチレンH4MPTレダクターゼ メチルH4MPT:SH-CoMメチルトランスフェラーゼ CH3-S-CoMレダクターゼ CoM-S-S-CoBレダクターゼ また、F420とH2を結合させる反応(4.、5.の反応)はヒドロゲナーゼという水素を活性化できる酵素がになっている。 F420還元ヒドロゲナーゼ また、F420に依存しない4.の反応(H2を直接メテニルH4MPTに付加する反応)は以下の酵素がになう。 H2生成メチレンH4MPTデヒドロゲナーゼ これらの酵素系や補酵素は、メタノールや酢酸からのメタン生成系に共通するものも存在する。ただし、二酸化炭素を固定してしまう、炭酸固定反応を有するのは水素、二酸化炭素からのメタン生成系のみであり、他のメタン生成系では二酸化炭素を放出する。
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