水素の合成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 13:58 UTC 版)
「ハーバー・ボッシュ法」の記事における「水素の合成」の解説
まず、メタンを精製して触媒を失活させる硫黄分を除去する。約1000 ℃、3 MPaで精製したメタンを酸化ニッケル(II)を触媒として水蒸気と反応させる。これは水蒸気改質と呼ばれる。 CH 4 + H 2 O ⟶ CO + 3 H 2 {\displaystyle {\ce {{CH4}+ H2O -> {CO}+ 3H2}}} 水素量に対応する化学量論量の窒素を含有するだけの空気を加えて、水蒸気改質で残存したメタンを酸化させる。水素の一部も燃焼する。いずれも大きな発熱反応であり、発生した熱(およそ1000 ℃に達する)を利用して水蒸気改質に用いる高温高圧の水蒸気を得る。 2 CH 4 + O 2 ⟶ 2 CO + 4 H 2 {\displaystyle {\ce {{2CH4}+ {O2}-> {2CO}+ {4H2}}}} CH 4 + 2 O 2 ⟶ CO 2 + 2 H 2 O {\displaystyle {\ce {{CH4}+ {2O2}-> {CO2}+ {2H2O}}}} 2 H 2 + O 2 ⟶ 2 H 2 O {\displaystyle {\ce {{2H2}+ {O2}-> {2H2O}}}} 高転化率と高い反応速度を両立するため、Fe-Cr系触媒とCu-Zn系触媒を用いた二段階の水性ガスシフト反応によって、一酸化炭素と水蒸気から二酸化炭素と水素を得る。本反応は平衡反応であるため、濃度0.5%程度の一酸化炭素が残存する。 CO + H 2 O ⟶ CO 2 + H 2 {\displaystyle {\ce {{CO}+ {H2O}-> {CO2}+ {H2}}}} 炭酸カリウム水溶液により、二酸化炭素を除去する。生成した炭酸水素カリウムは再生塔で炭酸カリウムに再生される。 CO 2 + K 2 CO 3 + H 2 O ⟶ 2 KHCO 3 {\displaystyle {\ce {{CO2}+ {K2CO3}+ {H2O}-> {2KHCO3}}}} 混合気体はメタン化炉へ送られ、ニッケル系の触媒を用いて、アンモニア合成反応で触媒毒になる一酸化炭素を10 ppm以下までメタン化により除去する。 CO + 3 H 2 ⟶ CH 4 + H 2 O {\displaystyle {\ce {{CO}+ {3H2}-> {CH4}+ {H2O}}}}
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